日本と大違い、国が鉄道を救済する欧州の現状 コロナ禍の支援、環境問題対策とセットの国も

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ベルギー鉄道は、ロックダウン後の利用客数が通常のわずか9.7%というレベルにまで低下、前年同時期には4430万ユーロ(約54億4300万円)の黒字を計上していたが、1億5230万ユーロ(約187億円)の赤字に転落した。

ロックダウン以降、乗客数が通常の半分程度で推移しているベルギーの鉄道(筆者撮影)

ロックダウンが解除された6月末には利用者数は通常の49%まで回復しているが、依然として厳しい状況が続いており、その赤字額は年末までに3億ユーロ(約368億円)に達する恐れがあるとしている。この状況から、ベルギー鉄道は政府に対し、早期の資金調達を促している。

国外事業は堅調なオランダ鉄道

オランダ鉄道は、2020年上期の損失額が1億8500万ユーロ(約227億円)に到達したと発表。ベルギーと同様、ロックダウン期間中に利用客数が通常の10%程度に落ち込み、現在も40%前後で推移している。

オランダ鉄道は本国での収入は大幅ダウンしているが、子会社が運営するドイツと英国の路線網では黒字を計上している(筆者撮影)

その一方で、オランダ鉄道の国外子会社アベリオの売上高は、コロナ禍にもかかわらず、列車を運行するドイツ、英国ともに対前年比を上回る成績となった。ドイツについてはシュトゥットガルトおよびルール地方における公共サービス義務契約(PSO)により、売上に大きな影響がなかったことが要因だ。英国事業はイースト・ミッドランズ・フランチャイズの運営権獲得と、英国政府からの7億300万ユーロ(約863億円)の支援金により増収を果たした。

しかしながら、地元であるオランダでの損失が今後どの程度になるか予想することは困難で、オランダ鉄道は政府に対して経済支援を急ぐよう強く求めている。

デンマーク鉄道は、2020年上期に6億700万デンマーククローネ(約100億円)という巨額の損失を抱えたことを報告、年末までに赤字は10億デンマーククローネ(約165億円)に到達すると予想している。少なくとも今年2月まで旅客数は増加傾向にあったが、ロックダウンによって対前年同期で80%の減収となり、政府から緊急で6800万デンマーククローネ(約11億2200万円)の財政支援を受けることを決定、合わせて将来的な金融枠組みに関する交渉を政府と進めていくと述べた。

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