京阪神のエリート列車、JR西「新快速」疾走50年 時速130kmの俊足と利便性でライバルを圧倒

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地元の要望で2011年3月から新快速の停車駅となった南草津駅(滋賀県草津市)は、乗車人員が3万755人(2018年度1日平均)と、いまや滋賀県内でいちばん多い。駅周辺には大規模マンションが建ち並び、立命館大学のびわこ・くさつキャンパスへのバスが発着する。「うちの社員にも姫路周辺から大阪へ通う人や、南草津のマンションに住む人がいますね」。JR西日本の広報担当者はこう話す。

登場から半世紀を迎える新快速はいまでも利便性向上を目指して進化を続けている。2017年3月には土・休日だけでなく平日も一部列車を除いて12両編成で終日運転することにした。平日の昼間時間帯の8両編成34本が12両編成となり、座席数が約9000増えた。

有料座席サービス「Aシート」の車両(記者撮影)

2019年3月には有料座席サービスの「Aシート」を導入。座席指定制ではないが、テーブル付きのリクライニングができる座席や、同社在来線普通車で初となる全席電源コンセント、無料Wi―Fiと快適性を高めた。料金500円は車内で支払う仕組みだ。223系の12両編成2本に1両ずつ組み込み、網干・姫路―野洲間を1日2往復する。

JR西日本は自社の看板列車である新快速の50周年を記念企画で盛り上げる考えだ。10月以降、記念のヘッドマークを掲げた列車を2編成運行するほか、京都・大阪・三ノ宮の各駅で車両と駅の歴史を振り返るパネル展示を実施する。文房具や切手シートなどオリジナルグッズも販売する予定だ。

記念イベントを開催

また、京都鉄道博物館では12月13日まで新快速に関する特別展示を実施する。「新快速のはじまり」から「関西の私鉄と新快速」まで5つの構成で、117系の車両部品による車内再現や、「万博号」「京阪電車3000系特急」のヘッドマークなどを展示。新快速に携わるJR西日本社員の舞台裏の映像や同館初公開の写真を用意する。有識者による講演会も開催する。

同博物館の岡本健一郎学芸員は「新快速は関西圏をコンパクトにつなぐ役割を果たしてきた」と解説する。今回の展示の狙いについては「さまざまなサービスや車両の変遷を知ってほしい。とくに国鉄の看板列車として導入された専用車両117系については、車内再現から当時の雰囲気を感じてもらいたい」と力を込める。

9月17日、JR西日本は2021年春に実施する近畿圏での終電時間の繰り上げの内容を発表した。大阪駅発の新快速の終電は京都行き、西明石行きとも25分早まることになる。背景にあるのは深夜時間帯の利用者数の減少と、保守作業員の人手不足の問題だ。デビュー50周年の新快速は、これからも時代の流れを反映させながら、京阪神の鉄道における主役の座を守り続けていく。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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