ついに出発、JRの寝台列車「銀河」が抱える課題

食堂車なし、成功には地元の協力が欠かせない

「新幹線なら3時間で行ける距離を10数時間かけて走るのですから長時間の乗車になります。長い時間をどう過ごしていただくか。その意味では、時間のデザインなのです」。銀河の車両デザインを手掛けた建築家・川西康之氏はこう語る。

長い乗車時間を飽きることなく快適に過ごしてもらうために、車内のデザインに工夫を凝らした。6両編成の車両は1号車はグリーン車指定席、2号車は普通車指定席の女性車両で、リクライニングシートのほかに昔の寝台車のような「ノビノビ座席」もある。3号車はコンパートメント、リクライニングシート、フリースペースから構成される普通車指定席、4号車は1両丸ごとフリースペース、5号車は普通車指定席のノビノビ座席、6号車はグリーン個室となっており、すべての車両が異なる特徴を持つ。車内にはフリースペースが至るところに設けられており、「座っているのが疲れたら車内を歩き回って欲しい」(川西氏)という狙いがある。

ヘッドマークで感染対策

新型コロナの感染予防策としては、空気清浄機の搭載、自動換気装置による車内換気といった対策を講じたほか、フリースペースには飛沫感染防止パーティションも設置した。

4号車フリースペースに設置されたパーティションには「距離」と書かれたヘッドマーク状のデザインが(写真:JR西日本)

JR西日本は列車内で会話を控えめにするよう乗客に求めているが、銀河においては車内の会話は旅を魅力的なものとするために欠かせないと判断した。パーティションには「距離」と書かれたヘッドマーク状のデザインが施され、ユーモア感があふれている。これをきっかけに初対面の人との会話がはずむかもしれない。

現在は旅行会社のツアー限定となっている。京阪神発着の場合は銀河と地元のホテル・旅館での宿泊を組み合わせた2泊のツアーや、往復で銀河を利用する3泊4日のツアーもある。ツアー料金は2万6000円からでかなり割安。そもそも本来なら銀河は通常の運賃、特急料金、グリーン個室料金で乗れるため、乗るのに何十万円もかかる豪華寝台列車と比べ、非常に魅力的だ。しばらくは乗りたくてもチケットが買えなくて乗れないという状態が続きそうだ。

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