「ダサイタマ」返上なるか、西武、埼玉戦略の行方 所沢駅に新商業施設、市長「もっと自信持って」

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「自分たちが住む街にもっと自信を持ってほしい」というのが藤本市長の願いだ。開業式典で行われたトークショーの席上で、藤本市長はこの商業施設の開業をきっかけに「市民の意識が変わって、仕事でも学びでも自信を持てる街になるのではないか」とポジティブに締めくくったが、所沢市民や埼玉県民が地元に自信が持てないという発言には驚かされた。

所沢市の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、市民に地元への愛着や誇りを高めてもらうことを目指すとしており、その数値目標の一つとして、「市民意識調査」における「愛着を持っている」「どちらかというと持っている」の割合が9割を超えることをを挙げている。最新の2019年度版調査によれば、「愛着を持っている」「どちらかというと持っている」と回答者した人の割合は過去最高となる87.1%となったものの、目標の9割には届かない。

同調査では都市景観、健康施策、災害対策など行政サービスに関する詳細な調査を行なっているが、市の外側から見て、地元に自信を持てない理由として思い付くのは、この一言だ。

ダサイタマ。ダサイと埼玉を掛け合わせた造語で、埼玉県民を揶揄する意味を持つ。1980年代頃からこの言葉を耳にする機会が増えてきた。最近でも埼玉を徹底的にけなした映画『翔んで埼玉』が大ヒットし、民放各局がダサイタマをテーマにしたバラエティ番組を相次いで放映するなど、ダサイタマの連呼に収束の気配はない。

埼玉県民が表立って抗議する動きはない。それどころか自虐的に肯定しているという見方すらできる。だが、埼玉や所沢はすばらしい街だと自信を持てるかどうかは、行政側の改善努力だけで解決できる問題ではない。

住みたい街のランク外

リクルート住まいカンパニーが毎年発表する「SUUMO住みたい街ランキング」の2020年版によれば、関東の大手私鉄沿線で「住みたい街」の上位30駅には、横浜、中目黒、表参道、自由が丘、二子玉川、武蔵小杉、たまプラーザ、海老名、三軒茶屋といった東京の西側または神奈川県の駅がずらりと並ぶ。

西武鉄道の所沢駅。池袋線と新宿線の2路線が乗り入れ、利便性は高い(記者撮影)

それに比べて埼玉県の駅はJRを含めても大宮、浦和、さいたま新都心だけ。東京や神奈川の駅の数と比べると見劣りする。プロ野球チームも遊園地もある所沢が住みたい街の上位に入っていないのは、不思議な感じすらある。

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