バツイチ40歳女性と結婚した男性の「重要基準」 思春期の娘も、遠距離婚も障害にならない

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この3人には共通点がある。メールの文章が丁寧で感じがよく、性急さではなく包容力を感じられたことだ。しかし、1人目は付き合い始めると独占欲が強すぎることがわかった。子育てと仕事を優先せざるをえない絵里奈さんに文句を言うことが増え、半年弱で交際を終えた。

2人目はなんと既婚者だった。自宅近くには絵里奈さんを連れていかないことを不審に思って問い詰めたところ、妻子とは別居中だが「自分には落ち度がないので離婚はしてあげない」と謎の主張。それは自分とは関係ないし不倫状態は嫌だと絵里奈さんが伝えても聞く耳を持たない。やはり半年ほどで別れた。

最後に付き合ったのが淳一さんだ。第一印象は「すごくしゃべらない人」だったと絵里奈さんは笑う。

「表情もほとんど変わらないんです。でも、私が会話のボールを投げたらちゃんと返してくれるし、一緒にいて苦ではありません。婚活サイトのプロフィールにも書いておいた娘のことを改めて話しても問題ないと言ってくれました」

すぐに「中距離恋愛」が始まり、1年ほど経ってから婚姻届を出した。その後もお互いの生活の場は変わらず、週末婚を続けている理由は冒頭で書いた。

「LINEと電話では毎日会話しているのも結婚前と同じです。離れていてもひとりじゃないという安心感はあります。いろいろ買ってもらっているし生活費も上げてもらいました。お金のために結婚したわけではありませんが、やっぱりお金があるのはいいものですね」

最初の結婚からずっとお金で苦労してきた絵里奈さんの言葉は重い。生活の不安と心配が減り、今は心穏やかに過ごせている。

「主人は感情が安定している人なので、一緒にいるときも喧嘩をしたことがありません。私の宝物です」

結婚へのまさかの「基準」

幸せそうな結婚生活に水を差すつもりはないが、1つだけ疑問が残る。淳一さんは堅実な地元企業の正社員で、恋愛経験も少なくはないらしい。なぜ年上のシングルマザーであり、すぐには同居もできない絵里奈さんを結婚相手に選んだのだろうか。絵里奈さんは恥ずかしそうに答えてくれた。

「主人はEカップ以上の女性としか結婚しないと決めていたそうです。どうしても譲れない基準だと言っています(笑)」

インタビューの最後になって筆者は淳一さんに親しみを覚えた。親想いの働き者の長男だからといって聖人君子ではない。1人の人間であり男性なのだ。女性の外見に心惹かれるのは当然である。

淳一さんが絵里奈さんを選んだ理由は、謙虚で賢く、自分の両親ともうまくやってくれそうな女性だと感じたからだと思う。でも、絵里奈さんから結婚理由を問われたときに美辞麗句を並べず、ボソッと本音も述べた。真面目で寡黙だけれど、ユーモアセンスがある淳一さんとの新婚生活を絵里奈さんは心から楽しんでいる。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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