とんかつバーガーでマックに喝は入るか 4月に投入したばかりのアボカドバーガーと併売

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アボカドバーガーの投入とハッピーセットの強化は、マクドナルドが2014年の重点戦略に掲げている「ファミリー層の取り込み」に沿ったものと見られる。前出の広報担当者によれば「アボカドバーガーは食材がなくなるまで、(とんかつと一緒に)併売を続ける」予定だという。

大々的に新商品のアボカドバーガーを売り出してから、3週間も経たずに次のとんかつバーガーを投入するという商品サイクルは異例のこと。広報担当者は「とんかつマックバーガーの投入は最初から決まっていた」としており、前倒しでの販売開始を否定する。ただ、「確かに期間限定商品(ハンバーガー)を併売するのは珍しいかもしれない」(同)と認める。

一貫性に欠ける商品戦略

価格戦略の迷走やサービス水準の低迷が響き、マクドナルドの既存店売上高は2012年から通年で前年を下回る状況が続く。今年に入ってからは2月、3月と2カ月連続で前年割れが続いている。

最近は商品戦略まで迷走しているようだ。今年に入ってから、定番の期間限定商品となっている「てりたま」(3〜4月)を除けば、古きよきアメリカをイメージしたアメリカンヴィンテージ(1〜3月)、アボカドバーガー(4~5月)、今度はとんかつバーガーと、立て続けに新商品を投入している。

同社広報は「昨年の反省をふまえ、メニューのバリエーションを増やす戦略の一環」と説明する。が、女性客を狙ったアボカドバーガーを展開しながら、男性客の呼び込みを意識したとんかつバーガーを投入する点に、一貫した商品戦略は見えてこない。

専門紙の記者は「(マクドナルドは)昨年から『新商品になるようなものを何でもいいから、早く持って来い』と食材業者をせっついている。ハンバーガーに挟めるものなら、何でもいいという発想になっているのではないか」と語る。

カサノバ氏が原田泳幸氏と入れ替わりで同社トップに就任したのは、昨年8月のこと。まもなく1年が経とうとしているが、業績好転の兆しはなかなか見えてこない。とんかつバーガーで既存店に喝を入れられるか。楽観的な状況でないことだけは確かだ。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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