中国共産党を悩ますイデオロギーの真空--イアン・ブルマ 米バード大学教授 ジャーナリスト


 2009年は中国にとってすばらしい年であった。世界不況の中で高成長を維持した。オバマ大統領は、世界の超大国の指導者というよりは、宮廷に懇願しにくるという面持ちで中国を訪れた。COP15は、中国の思惑どおりに進んだ。中国や他の工業国に排ガスの大幅な削減を約束させられず、非難されるのはアメリカであった。

共産党が支配する中国政府が自信を持つには、それだけの理由がある。穏健な文学教授の劉暁波が11年の懲役刑に処されたのは、単に同氏が公然と表現の自由と一党支配終焉を訴えたからなのだろうか。

劉氏は基本的人権の尊重を求めた「08憲章」の共同起草者だった。同憲章には数千人の中国人が署名している。彼は暴力的な反乱者ではない。インターネットで表明された意見は、極めて平和的なものであった。しかし、彼は“国家転覆を扇動した”という理由で投獄された。彼が共産党の巨大な権力を覆すことができると主張するのは、バカげたことだ。しかし当局は、彼を見せしめにすることで、人々が同じような意見を表明するのを阻止できると信じているのは明らかである。

中国を支配する宗教的政治哲学

確固たる基盤を持っているように思える共産党支配体制が、単なる意見の表明や平和的な請願をなぜそこまで危険視するのだろうか。おそらく共産党支配体制は、表面的に見えるほど安定していないのだろう。

正統性がなければ、いかなる政府も自信を持って国を支配することはできない。体制を正統化する方法はいくつかある。リベラルな民主主義は最近登場した制度にすぎない。過去には世襲的な君主制も神聖な権威に支えられて機能していた。ジンバブエのムガベ大統領のような現代の専制君主も、自由の戦士として信任を得ることで支えられてきた。

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