新型コロナ感染への不安に負けない心のコツ 精神科・産業医が勧めるコロナとの付き合い方

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もちろん新型コロナウイルスに感染すれば重症化しやすいリスクのある基礎疾患を持つ患者さんや高齢者に対しては、ワクチンができるまで、引き続き厳重な感染予防対策が継続できるように、社会的にサポートし、手厚い保護をしていく必要があります。

例えば家庭内や街中では、ハイリスクの人たちとは極力ソーシャルディスタンスがとれるように過ごす。ハイリスクの人たちが集団での食事や会合に参加しなくても済むように配慮する。職場ではハイリスクの人たちにはリモートワークを優先して適用する、どうしても出勤が必要な場合は十分に距離の取れる場所で就業してもらうなどの工夫を積極的に行いましょう。また、マスクや手洗いを励行しつつ、「発熱以外にも、咳や倦怠感など何らかの風邪症状を感じたら、早めに休む」ことも職場で徹底していきましょう。

こうした感染対策を行いながらも、低リスクで健康な壮年・青年・子どもたちについては、「自他ともにコロナ感染を許容しながら、お互いに支え合って、社会活動を積極的に継続していく」という寛容な意識改革が、必要だと考えています。

新型コロナの死者は流行から6カ月あまり経った8月8日現在で1042人です。ちょっと視野を広げてみると、私たちは新型コロナより死者数が多いインフルエンザ(2018年約3000人死亡)に対してもお互いに感染を許容し合ってきました。また新型コロナと同等の扱いをされている結核(毎年約2000人程度死亡)が職場で発生しても、保健所が消毒にきて濃厚接触者についてX線検査や血液検査を行いますが、差別や偏見を持たずに冷静に対応してきたではありませんか。

新型コロナもインフルエンザや結核と同様に扱う寛容な心を持たなければ、このウイルスと人間社会の共存は永遠に成り立たないでしょう。

私がこれまで産業医・精神科医として接してきたさまざまな職種の人たちにおいても、今回ご紹介した2つのコツを心がけている方々は、過剰な不安にさいなまれることなく落ち着いて仕事に取り組み、日常生活でもコロナ前の穏やかさを次第に取り戻しています。

まず、経営陣がこうした広い視点と心を持つことが必要ですし、そうした人たちの下では社員たちも伸び伸びと元気に働いているように感じます。本コラムがわずかでも読者の皆さんの心の平和に役立てれば幸いです。

奥田 弘美 精神科医・産業医

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おくだ・ひろみ / Hiromi Okuda

精神科医(精神保健指定医)・産業医(労働衛生コンサルタント)。1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内約20の企業の産業医として、働く人を心と身体の両面からサポートしている。著書は『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター、2016年)、『心に折り合いをつけてうまいことやる習慣』(共著、すばる舎、2018年)など多数。「日本マインドフルネス普及協会」を立ち上げ、日本人に合ったマインドフルネス瞑想の普及も行っている。

 

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