コロナ感染予防「人工抗体」に期待が集まる事情 効果は一時的でも高リスクな人々に有効かも
米イーラリ・リリー、英アストラゼネカ、米アムジェン、英グラクソ・スミスクラインは、こうした療法の成功が証明された場合に供給を大量化するための製造資源共有計画について、米政府から承認を得ている。製薬ライバル社同士のこうした協力は異例だ。ただ、モノクローナル抗体の製造は複雑で、なおも生産設備能力は限られている。
アストラゼネカは、2種類の抗体の組み合わせの臨床試験を数週間内に始める計画としている。その一方、イーライリリーも6月に2種類の抗体候補の臨床を始めたが、同社としては1種類の投与法に重点を置いていく構えだ。
ワクチンが広く入手されるまでのつなぎ役か
一方、体内の独自の免疫システムを活性化させるワクチンと異なり、モノクローナル抗体は効果がいずれ消える。それでも製薬メーカーは、医療従事者や高齢者など高リスクな人々への感染を一時的に防ぐには有効ではないかとしている。ワクチンが広く入手されるようになるまでのつなぎ的な療法としても使えるかもしれない。ビル・バイオテクノロジーの主任メディカル責任者、フィル・パング氏は「予防的な意味合いとしては、我々は最大半年間、有効かもしれないとみている」と語った。
モノクローナル抗体の安全性リスクは低いと考えられているが、費用は高額になる可能性がある。がんのモノクローナル抗体の場合は年間10万ドル以上かかる可能性がある。また、新型コロナウイルスが特定の抗体に耐性ができる可能性も懸念されている。
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