ぺんてる、埋まらない筆頭株主コクヨとの距離 買収騒動から半年余り。膠着状態が続いている

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ただ、あのときに直接保有を認めたことが現在の膠着状態に繋がっているわけだが……。

――現在、コクヨと協業に向けた話し合いはできているのですか。

おの・ひろゆき/1958年生まれ。1982年東京理科大学理工学部卒業、ぺんてる入社。1989年にユーロぺんてる出向。1997年に欧州統括本部財務統括管理部長。経営戦略室長や財務本部長、生産本部長を歴任し、2020年6月より現職(撮影:今井康一)

当然、トップ同士は会っているが、協業うんぬんの前に信頼関係を構築することが先だ。

それなしに具体的な協業の話はできない。現段階では、そのスタートラインにも立てていないという認識だ。

――信頼関係を構築できれば、協業に向けた協議を進められる、と?

そういうことになるが、そうならない可能性もある。

まだ何とも言えない。ただ、いつまでもケンカしていていいとも思っていない。

我々の目的はぺんてるという会社を発展させていくこと。そこに通ずるものがあれば、信頼関係を取り戻すための努力はこちらとしてもしていかなければならないと思っている。

――ぺんてる、プラス、コクヨの3社で協業するという道はありませんか。

3社でやっていくのは難しいのかなと……。

――では、大株主のコクヨやプラスから役員を入れる予定は?

今のところ、その予定はない。

ぺんてるとして、どう生きていくか

――2年前、プラスとの折半出資で「コーラス」と言う会社を立ち上げる計画がありましたが、文房具業界では長年、存在感を持ってきた卸・流通の方々が強く反対したことで頓挫しました。この8月1日からは、プラスが単独出資する「コーラス」が始動しました。ここに加わる考えはありますか。

企業価値が向上するのであれば検討するが、今のところは考えていない。

――小野社長の判断は、業界再編の行方を左右します。

ぺんてるとして、どう生きていくかということだけを考えている。

――新型コロナ後はDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、IT化の加速で筆記具ユーザーはますます減ると言われています。

これまでも、ことあるごとに「IT化、ペーパーレス化で筆記具はなくなる」と言われてきたが、なくなっていない。

文具ブームまで起きて盛り上がりを見せたところもあった。落ちる部分はあってもカバーできている。DXは進むのだろうが、文具がなくなることはないと思っているし、「その人が心に感じる想いをかたちにできる道具をつくり、表現する喜びを育む」というわれわれのビジョンは変わらない。

ただここ数年、ぺんてるはヒット商品を出せていない。世の中に広く認めてもらえるような商材を作らなければならない。

「週刊東洋経済プラス」では、スペシャルリポート「文具業界を揺るがす動乱『コクヨ vs. プラス』の全真相」を掲載しています。
野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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