リニア「JR東海vs静岡」、わずかに和解の兆し? 県有識者会議で「JRに助言しては?」と提案も
有識者会議は4月27日に第1回会議が開催されてから3カ月を経て、ようやく4回目が終わったばかり。もともとは「1~2週間に1度」のペースで行う予定だったので、本来なら現時点で10回以上開催されていてもおかしくはない。
とくに6月2日開催の第3回と、7月16日開催の第4回の間には1カ月半の空白期間がある。この間にJR東海と県、国と県がそれぞれ県とのトップ会談を開催したことが会議のスケジュールに影響したのかと思ったが、JR東海の宇野護副社長は「委員から要望のあった資料の作成に時間がかかった。1カ月半でも足りなかったくらいだ」と明かす。
第3回の会議で、JR東海は有識者会議から流域河川や地下水の水量、降水量などのデータを使った大井川流域の評価、水収支モデルのアップデートといった宿題を与えられていた。
JR東海が1カ月半かけて作成した資料は、委員の間でも「過去の資料と比べても見やすくなった」「新たな資料も開示された」と、おおむね好評だった。資料が充実したことで、福岡座長も「議論がかみ合うようになってきた」と評価する。
JRが示した地下水の低下量
新たに示されたのは、トンネル掘削完了から20年後までの5年ごとの地下水の低下量の予測値だ。掘削終了後15年後くらいまで地下水は減り続け、山の尾根部分から350m深い位置でトンネル工事を行ことで地下水が300m以上低下する可能性があるという。また、地下水位の低下に伴い地下水の地表への湧出量が減り、近くを流れる沢の流量は最大で7割程度減少するという。
この説明を行ったJR東海の二村亨・中央新幹線建設部次長は、「安全側に考えた条件設定にしており、トンネル湧水量が大きめに出るように試算した」と説明する。要するに、最悪シナリオを提示したということだ。実際には防水シート、覆工コンクリートなどの施工を行い、トンネル周辺に薬液を注入するなどの湧水抑制対策を講じるので影響は小さくなるという。
JR東海は大井川流域の年間降雨量と大井川の年平均流量、さらにダムが実施している放水量、大井川の表流水や地下水の利用状況も示した。トンネル湧水を大井川に戻すことで中下流域の水資源への影響がないと説明した。
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