東名高速「海老名SA」、大幅リニューアルの全貌 7月22日に開業、新型コロナの感染防止対策も

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紙おむつが購入できる自動販売機(筆者撮影)

こうした「食の充実」のほかには、高速道路で初めてのベビー用の紙おむつが購入できる飲料自動販売機(飲料商品と紙おむつは取り出し口が別)が屋外に設置されていたし、そのすぐ隣にあった、エチオピアのコーヒー生産地への支援につながる「SDGs(持続可能な開発目標)仕様」のカップ飲料自販機も高速道路初のお目見えである。

また、フードコートで人気のメニューをSA周辺地域にウーバーイーツで配達するデリバリーサービスや、フードコートで並ばずにスマートフォンでメニューの選択や決済ができる「Fika(フィーカ)」と呼ぶモバイルオーダーサービスも年内に導入される予定だ。

いずれも、「巣ごもり」や「密を避ける」「現金に触れない」といった、コロナに対応したサービスであり、「移動」そのものが感染拡大の危険性をはらむ中で、SAが率先してコロナ対策に先んじようという意欲が感じられる。

コンシェルジュ案内でのAIの活用の試行も今回のリニューアルに合わせて始まっており(同時に新東名のNEOPASA清水でも導入)、これも「人との対面」の機会を減らすという意味で、コロナ対策になるだろう。

EXPASA海老名(下り)の運営は、ロイヤルグループだが、2015年に国連で採択されたSDGsに積極的に取り組む企業であることから、ドライフルーツなどのフェアトレード商品や、サスティナブルシーフード(水産資源や環境に配慮し適切に管理された漁業や養殖業による魚介類)を使った缶詰を提供することも、リニューアルに合わせて行われる。

高速道路以外のアクセスも充実

近年テーマパーク化が著しく、「そこでしか食べられない」グルメスポットとしての存在感も増しているSAやパーキングエリア(PA)は、高速道路を利用しない利用客の獲得にも力を入れている。EXPASA海老名には、駐車場エリアの建物を挟んだ裏側、つまり一般道側の利用者駐車場(ぷらっとパーク)の中に、直接海老名駅などからのコミュニティバスが入ってくるなど、外部からのアクセスも充実している。

下りのリニューアルオープンに合わせて、夏の期間限定ではあるが、SAの下りと上りの両エリアを一般道で結ぶシャトルバスの運行も始めるなど、車を持っていなくても、海老名SAの上下両方で食事と買い物が楽しめるような工夫が凝らされている。

今回の海老名SAの取り組みは、ほかのSAにも広がるか(筆者撮影)

この連載では、海外のサービスエリアの様子も折に触れ伝えているが、私がこれまで60カ国以上の高速道路を走ってきた経験から言えるのは、日本の高速道路のサービスの進化や、食事や土産物のメニューの豊富さはほかの追随を許さない充実度を誇っており、今回の海老名のリニューアルは、「withコロナ」を意識しているという点でも、現時点での最上の楽しみと安全を提供しているといえるだろう。

今年の夏は、東京五輪が延期となり、以前の計画なら今年度に完成していたはずの新東名の全線開通も2023年度に先延ばしとなった。コロナ禍で例年ほどのお盆の帰省ラッシュも見られないかもしれない「特別な夏」になりそうだが、近場の旅でゆっくりSAやPAの進化を味わってみる夏にするのもよさそうだ。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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