国内外でウイルスを広げている「米軍」の怠慢 沖縄だけじゃなく、世界で問題になっている

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世界中の数多くの国に軍隊を展開する唯一の国として、アメリカには何の制限もなくウイルスを他国に持ち込む場面が数多く存在する(アメリカ軍が展開する国には、アメリカからの旅行を禁じている国も含まれる)。さらにアメリカ軍には、すでに新規感染者であふれかえっている地域の感染をさらに加速させる懸念もある。

こうした現実は、複数のアメリカ軍基地が存在する日本南端部の島、沖縄の経験にはっきりと現れている。6月の数週間にわたり、国防総省の移動制限によって延期されていた数千人の海兵隊員の沖縄への派遣が実施されている。エスパー国防長官がアメリカ軍の移動を6月末まで制限し、その後解除したのには2つの狙いがあった。1つは、軍内部の感染防止。もう1つは、長期的な派遣スケジュールに対する悪影響を最小限に食い止めることだ。

無許可で開かれたパーティーで感染拡大に拍車

事情をよく知る海兵隊員が匿名を条件に語ったところでは、沖縄に新規感染を持ち込んだのはカリフォルニア州から派遣された海兵隊のヘリコプター・歩兵部隊だったと考えられている。新型コロナの感染は6月に当該部隊内で急速に広がり、7月4日の独立記念日の週末あたりに無許可で開かれたパーティーによって感染拡大に拍車がかかったのはほぼ間違いない、とこの海兵隊員は話す。

「皆も気づいていると思うが、追跡チームによれば、新型コロナに感染した海兵隊員や水兵はおそらく」移動に関して課されていた規制を破った――。独立記念日の数日後に沖縄のアメリカ軍指揮官たちが海兵隊員に向けてこのように記したメッセージを、ニューヨーク・タイムズは入手した。指揮官らは規則に従うよう隊員に警告し、その行動は「徹底的な調査の対象になる」とクギを刺している。

韓国では、2月下旬に同国初の集団感染が確認されて以降、70人を超える在韓アメリカ軍関係者が検査で陽性となっている。アメリカ軍は厳格な隔離手順を順守していると述べる一方、早期に新型コロナの封じ込めに成功した韓国の衛生当局者は、新規感染の大部分が海外由来だとしている。

オーストラリアでは1000人を超す海兵隊員がダーウィンで毎年行われる数カ月の合同軍事演習を最近開始したばかりだが、海兵隊が今月行った報道発表によると、少なくとも1人の海兵隊員が新型コロナに感染していることが判明した。

ドイツではアメリカ軍のシュパングダーレム空軍基地のあるビットブルク=プリュム郡が、国内でも特に感染率の高い地域となっている。ただし、同基地内での感染は減少しつつあるようだ。

(執筆:Jennifer Steinhauer記者、Thomas Gibbons-Neff記者)
(C)2020 The New York Times News Service

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