「米中対立」で8月の日経平均はどうなるのか? 今週は注目の1週間、「新常態」の投資手法とは
一方で、気になる材料がないわけではない。米中関係だ。アメリカ政府は24日、通告を行ったうえでテキサス州最大の都市ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖。これに対し、中国も四川省成都市にある米総領事館の閉鎖を命じた。
このような対立を見て先週後半のNY株式市場は、今後の報復の連鎖を嫌気した。また、「すぐにも出る」と思われた追加経済対策が、与野党の意見の隔たりが大きく、月内の合意も危ういとなったことも悪材料視された。
こうしたなか、今週は日本企業の4~6月期決算発表が本格的にスタートするが、いきなり佳境を迎える。少し長くなるが主な企業を挙げると、27日は中外製薬、日立建機、三菱自動車など、28日はファナック、日産自動車、キャノン、東京エレクトロンなど、29日は三越伊勢丹HD、H2Oリテイリング、三井住友FG、ANAHDなどが決算発表を予定。さらに30日はZOZO、オリエンタルランド、日立製作所、三菱電機、パナソニック、JR東日本、31日にはキーエンス、KDDI、武田薬品工業、ヤマトHDなど。このように、薬品・ハイテク・小売り・金融・中国関連・自動車の注目企業の決算が一気に出る。
つまり、今週1週間で日本企業の4~6月期、さらには今年度の決算の様子がほぼ分かると言っても過言ではない。先週の日本電産の決算で、ハイテク株の数字と株価の反応はある程度想像できる。だが、金融・小売り・自動車の厳しい数字と見通しが出た場合、本当にそれで「あく抜け」になるのか、それとも売り直されるのか。もし売られるのであれば、日経平均の重要な下値支持ライン2万2000円が意識される。
不透明感増しても継続的な下落は考えられず
日経平均のチャートを見ると、6月中盤からは2万2000円と2万3000円のゾーンでのモミ合いになっている。だが、いつまでもこの状態が続くわけはない。コロナと米中対立、企業業績と景気指標が今後を決める。
経済再開による景気指標の回復具合を測るでは、先週出たマークイット社による7月のPMI速報値が参考になる。製造業と非製造業をまとめた「総合PMI」で見ると、アメリカは50.0(5月37.0、6月47.9)と、6カ月ぶりに景気の節目となる50を上回った。またドイツは55.5(5月31.4、6月45.8)、ユーロ圏全体では54.8(5月31.9、6月47.5)と順調に回復している。だが日本は43.9(5月27.8、6月40.8)と50を超えておらず、勢いも若干鈍っている。
7月まで急回復してきた経済が8月にさらに加速するという気配は感じられない。それどころか、コロナや米中対立の不透明感は増している。
だが企業は、計算できず出せなかった今期見通しも、厳しいながら出せるようになった。政策の支援の手は緩まず、慎重に行動してきた投資家も買いが尽きたという感じはなく、継続的に下げることは考えられない。むしろ、有望な個別株には新規資金を投入するようになっている。8月相場はゆっくり行けばよい。8月は「年後半のエネルギーを貯める月」だと思っている。
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