おやじスポーツ、野球はこのまま衰えるのか

日本社会の縮図としての野球界

サッカー界には、「日本代表ファン=ライトファン」が「Jリーグファン=コアファン」につながっていないという課題が確かにある。だが、世界のひのき舞台で活躍する日本代表の勇姿は、確実に次代の選手&ファンを育んでいる。

2008年に社団法人スポーツ健康産業団体連合が発表した「子供の年齢別スポーツ実施状況調査」によると、未就学児童(6歳以下)のスポーツ体験は、サッカーが8.6%に対し、野球はわずか0.5%! 35歳の筆者は幼少の頃、空き地で野球に興じていたが、現在、そうした光景を目にすることはほとんどない。とりわけ首都圏には空き地があまり存在しなくなり、公園で見かけるのは球蹴りに夢中の子どもたちだ。

ボールの握り方を知らない子どもたち

そうした現状について、かつて千葉ロッテマリーンズの執行役員事業本部長として球団改革を行い、現在はNPBで侍ジャパン事業戦略を担当する荒木重雄は憂慮する。

「ここ数十年の日本では、いわゆる“遊び”の野球がなくなっています。スポーツの“塾化”が進み、少年野球チームに入るか、サッカーチームでプレーするのか、水泳教室に行くのかという選択肢になっている。以前のように、学校が終わった後に空き地で遊ぶのではなく、野球をやりたければ少年野球チームに、サッカーをするならサッカークラブに入る必要がある。それが今の世の中です」

筆者が子どもの頃、八重樫幸雄やボブ・ホーナー(共に元ヤクルトスワローズ)、潮崎哲也(元西武ライオンズ)など珍しいフォームの選手をマネし、遊ぶのは当たり前だった。だが少年野球教室を行っている元プロ選手によると、現在の子どもたちはモノマネができなくなっているという。テレビでプロ野球を見る機会が急減したため、フォームを模倣できないのだ。それどころか、ボールの握り方も知らない子どもたちが珍しくないという。

そうした状況が将来、深刻な野球離れにつながりかねないと、荒木は憂いている。

「サッカーには、未就学児の受け皿がけっこうあります。でも野球の場合、小学校の中・高学年から始めるケースが多い。競技を開始する年齢を分析すると、両者には3~4年のギャップがあり、少年たちはサッカーを選択するほうに流れています。野球もサッカーも、幼少の頃からシリアスにプレーする傾向になった結果、途中で競技を変えることが起こりづらい。1度始めたら、なかなか変更しません。野球にとって、そこが大きな課題です」

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