文系人間が日常でやらかす「惜しい」言い間違い 簡単な数学的思考で日々がぐっとラクになる

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日常的に使われる数学的用語を正しく使えるようになれば、物事はもっとスムーズに進むかもしれません(写真:fizkes/iStock)  
数学が苦手な人は少なくありませんが、ほんのすこし数学的思考が使えれば、日常生活が劇的にスムーズに進むかもしれません。
数学的思考ができる人に世界はこう見えている ガチ文系のための「読む数学」』を著した齋藤孝さんに、日常生活で目にする、ちょっとした数学思考不足の例を紹介していただきます。

「ベクトル」は方向を示すだけではない

多くの人、とくに文系の人たちが好んでよく使う数学用語があります。例えば「方程式」。

古い話ですが、かつて巨人の長嶋茂雄監督は自らの継投パターンを「勝利の方程式」と呼びました。会社でも、あちこちの利害が折り合わない難題を抱えたときなどに、「うーん、この方程式を解くのは大変だな」などとボヤく人がいるかもしれません。

「最大公約数」もよく使われます。例えば会議でいくつかの意見が対立してしまい、どれか1つだけを採用するわけにはいかない。そんなときに、「どれもいいところがあるから、最大公約数を取ればいいんじゃないかな」などと言って、それぞれの意見からみんなが納得できる部分だけを取り出して集約し、妥協を図ることがあるでしょう。

このように、数学用語は日常に溶け込んでいるわけですが、ただ、せっかく使うのであれば、もっとその意味を理解して使ったほうが役に立つと思えるものもあります。

それは、「ベクトル」です。

「その企画はちょっとベクトルが違うんじゃないかな?」
「キミとは生き方のベクトルが違うんだ」

そんな表現を見聞きしたことは誰にでもあるでしょう。自分でも、そんなふうに「ベクトル」を使ったことのある人もいると思います。では、この「ベクトル」は何を意味しているのか。

文系人間の場合、ほとんどは「方向」あるいは「方向性」のつもりで口にしているのではないでしょうか。

ベクトルは、「→」という記号で表されます。

数学が苦手な人でも、それを学校で習ったときの印象は強く残っているのでしょう。

だから、単に「方向性が違う」というより、「ベクトルが違う」といったほうが「矢印感」が出てニュアンスがよく伝わるような気がする。「ベクトル」と言いたくなる理由は、そんなところかもしれません。

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