中国が「電気自動車」をめぐる政策を見直す事情 低燃費車とされるHVやMHEVなどの車種を優遇

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2020年1~6月の中国HV販売台数は約13万台で、市場全体の9割超を日系HVが占めている。トヨタのカローラ、カムリ、ホンダのアコード、インスパイアなど日系HVが、現地生産による高いコストパフォーマンスを実現した。

HVを強みとする日系に追い風か

一方、48VのMHEVシステムを採用したベンツCクラスとEクラスの販売台数は2020年1~6月に計6万台を超え、日系HVを攻める勢いを見せている。

低燃費車の生産を中心とするメーカーはNEV生産台数が少量でも、多くのガソリン車を生産・販売できることになる。こうした中、燃費規制に苦しむ地場メーカーにとっては、構造が複雑でかつ開発コストも高い日本のフルHVへの新規参入に勝機を見出せないため、構造がシンプルな48VのMHEVへの期待が次第に高まる。

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ただし、MHEVが燃費改善効果で日系HVに劣後しているため、ドイツ系メーカーは1.5リットルの3気筒ターボエンジと48Vの組み合わせで低燃費の実現を図っている。

中国におけるEV政策の軌道修正はHVに強みを持つ日本車の需要も喚起すると期待される。他方、ボッシュやコンチネンタルなどドイツ系サプライヤーが中国で48Vシステムを大量に供給すれば、ドイツ系自動車メーカーのMHEV参入も加速する。

実際、フォールクスワーゲンは今年の秋に48VのMHEVシステムを採用する新型ゴルフ(第8世代)を中国で生産する予定で、今後、中国の低燃費車市場をめぐる日独争いが一層激しくなりそうだ。

湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

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タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日本・中国自動車業界の知見を活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。中央大学兼任教員、専修大学客員研究員を歴任。『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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