日本コカ・コーラ取締役会長・魚谷雅彦(Part3)--一晩で欧州のオーナー型企業から、ウォールストリート型のアメリカ企業に変わってしまったんです


 その商品開発にかかわった国内外の人から、「俺にもプロフィットを寄こせ」とたくさんメールがきました。個人の利益のために他人を利用しようという気風も感じました。

リーマンショックの時にマスコミで批判されたような金融カルチャーは、当時やはり根強くありましたよ。皮肉にも取引がうまくいったことで、この世界は自分には合わないと確信しました。

--1年と少しでシティバンクを辞められます。

長くいる場所ではないなと思っていたとき、コーヒーやチョコレートを扱う消費財企業のドイツ人幹部と出会ったんです。ヨーロッパではネスレに次ぐ大企業で、日本で大規模なM&Aをやりたいのだけれど、日本の大手食品会社を買収できないかという相談をいただきました。

僕は、日本の事業構造、特に流通は複雑なので簡単にはできませんよと説明しました。バンカーらしからぬメーカー経験に基づいた説明をしたからでしょうか。

後日チェアマンが、「M&Aのビジネスはオファーできないけど、君にジョブをオファーしたい」とマーケティング本部長の職を依頼してきたんです。本国でしっかりとした企業であり、かつ投資意欲があってゼロから日本で立ち上げをやるなんて面白そうだなと思いました。そして、このオファーを受けました。

--再び戻ったマーケティングの世界はいかがでしたか。

オフィスのデザインから採用などを含め、ゼロからの立ち上げを経験しました。日本のマーケットの難しさもよくわかりましたね。

たとえば、ドイツ人はチョコレートを日本人の6倍食べますが、日本人は板チョコではなくチョコレート菓子を食べるんです。包装紙もヨーロッパは大量生産して銀紙で包むだけですが、日本は高温多湿で虫が入ってしまうのを防ぐため銀紙を熱で蒸着をします。

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