銀行の融資激増で「3~5年後」が今から心配な訳

コロナ禍で企業支えるが不良債権化リスクも

中には、将来リスクに備えるどころか、足元の影響に対する引き当てすら十分に積めていない地銀もある。ある地銀の財務担当者は、「将来に備えた与信費用の計上を検討していたが、営業担当者から『自分たちは倒産させないように支えているのに、なぜそんなことをするのか』と反対されてできなかった」と明かす。

こうした現状を鑑みると、各地銀が積んでいる与信費用では十分ではなく、不良債権の増大次第では自己資本を毀損してしまう銀行が相次ぐ可能性も否定できない。

不良債権の問題は実体経済から来る時限爆弾だが、銀行は金融市場の側でも爆弾を抱えている。実際、新型コロナウイルスが蔓延し始めた3月には、株価が大幅に下落し、多くの銀行で減損損失が発生した。

CLO多く抱え、「サブプライム再来」懸念

銀行が投資している金融商品の中でも、特に注意が必要なのが、CLO(Collateralized Loan Obligation=ローン担保証券)だ。金融庁や日本銀行がこの6月に調査結果を発表し、日本の金融機関に警鐘を鳴らしている。

CLOとは、信用力が相対的に低い企業への融資を束ねて証券化した商品だ。リスクの高いものを束ねて商品化する手法は、リーマンショックを引き起こしたサブプライムローンに通じるものがある。

世界のCLOの残高は、2018年末で82兆円にものぼるが、その市場における日本の金融機関のシェアはなんと18%にものぼる。3メガバンクや農林中央金庫、ゆうちょ銀行の保有が多いとされる。最も多い農林中央金庫は7兆7000億円ものCLOを保有している。

日本の銀行の言い分はこうだ。「保有するCLOのほとんどはAAA格でリスクは低い。さらに満期保有目的のため、満期まで保有すれば売却損は出ない」。だが、価格が大幅に下落すれば、話は別だ。減損損失から逃れられなくなる。

実際、CLOの価格は3月に大きく下落した。足元では金融市場全体が安定しているため大きな問題とはなっていないが、第2波、第3波が訪れれば再びマーケットが混乱する可能性はある。その際、ヘッジファンドなどが顧客からの換金要求に応じるために、CLOが投げ売りされ、価格が大幅に下落することもありえる。

新型コロナウイルスの感染者は再び増加しており、実体経済への影響はしばらく続きそうだ。現時点では倒産の連鎖も、金融市場の混乱も回避できているが、将来のリスクは決して小さくない。銀行が抱える爆弾の導火線には、火が灯っている。

『週刊東洋経済』7月11日号(7月6日発売)の特集は「銀行 地殻変動」です。
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