「秋に解散」を振り回す麻生副総理のある思惑 キングメーカー狙いか、首相への援護射撃か

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このうち「来秋」は事実上の任期満了選挙となる可能性が高く、政治的には安倍首相による解散権行使との意味合いは消え、政局運営の武器とはなりそうもない。だからこそ麻生氏は「解散するなら秋しかない」と首相の背中を押すのだ。

夏以降に予想される内外の政治日程も麻生氏の主張を裏付ける。アメリカが議長となるG7サミットは8月末が想定され。安倍首相の盟友・トランプ大統領の再選がかかる大統領選は11月3日だ。さらに、国際オリンピック委員会が東京五輪開催の可否について検討を本格化させるのも10月ごろとみられている。

解散説の原因となった「3A1S」会談

さらに、医療専門家の多くが11月以降にコロナ第2波の襲来を予測している。となれば、政治的にみても「秋口解散ー10月選挙しかない」(自民選対)。「選挙の神様」との異名もあった小沢一郎氏(国民民主党)も「選挙をやるとすれば10月だ」と断言する。

与党内では、臨時国会を9月28日に召集して冒頭解散し、投開票日を10月25日とする具体的な選挙日程も取り沙汰されている。公明党が党大会を9月27日に設定し、安倍首相の出身派閥である細田派の政治資金パーティが同28日開催予定であることや、10月25日が衆参統一補欠選挙の実施日となることから組み立てられた仮説だ。

麻生氏の言動とともに、今回の解散風加速の原因となったのは、いわゆる「3A1S」と呼ばれる安倍、麻生両氏と菅義偉官房長官、甘利明自民党税制調査会長の4者会談(6月19日夜)だ。「政権の真の中枢」と位置付けられてきた4氏の会談は、2017年7月以来3年ぶり。「前回の会談では解散時期も話し合われ、それが9月28日解散ー10月22日投開票という前回衆院選につながった」(自民幹部)とされる。「まさにビデオテープでもう一度」(閣僚経験者)ともみえる。

もちろん、与党幹部の中では「コロナ禍での解散などありえない」との声が多数派だ。ポスト安倍の人気ナンバーワンとなっている石破氏は、7月2日の講演で「(前回は)国難突破解散だったが、(今回は)何を国民に問うのか。『いまなら勝てるだろう解散』はやるべきでないし、憲法の趣旨にも大きく反する」と、秋解散説を厳しく批判した。

その一方で、選挙で自民党が最大の頼りとする公明党も、山口那津男代表や斉藤幹事長が秋解散に否定的見解を繰り返している。「コロナショックで集会も開けず、選挙準備が整わない」(斎藤氏)のが理由だ。にもかかわらず、同党は2日、次期衆院選での小選挙区公認候補を発表した。

「(衆院議員の)任期が1年ちょっとだから、当然のスケジュール」(斉藤氏)と強調するが、野党は「秋解散への準備」(立憲民主幹部)と色めき立つ。

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