「コロナ後の日本経済」見極めに欠かせない視点 大和総研・熊谷氏に今後の見通しを聞いた
景気回復がずれ込むシナリオが浮上
――実体経済の数字の割に、株価、とくにアメリカ株の上昇は顕著です。この乖離をどうみるべきですか。
中央銀行の金融緩和によってお金がジャブジャブになり、アセットバブルエコノミーとなっている。
ただ、実体経済と金融市場の乖離が続くのは難しい。IMFも先日、実体経済と金融市場の乖離について警告を発した。(株価の割高・割安を測る指標の1つである)シラーPERの長期推移をみると、いったん25を割って落ち着いたかに見えたが、足元は29まできている。25を超えると相当割高で、説明できないところまで株高が進んでいる。
――今後の経済見通しについては、U字型の回復パターンやL字型の見通しまで、さまざまな予想があります。
最終的には感染症の動向次第だが、①6月前後で終わるシナリオ、②2021年に回復がずれ込むシナリオ、③金融危機を併発するシナリオがありうる。国際機関は①を前提としているが、実際には②の可能性が出てきた。
今のところ金融システムは極端にいたんでいないが、過去の事例をみると、平時の、金融システムがそれほど悪くなっていない時期から、(金融機関に)公的資金を入れる準備をしておくことが重要だ。
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