電車の「顔つき」を左右する決定的要素とは何か

貫通扉、表示幕、窓の形状…、さまざまな要因

貫通ドアの有無は顔の造作に影響する。単純に車体の中央にあって占有面積が大きいということもあるが、これによって前面の窓、そして顔が左右に分割される。貫通ドアは運用条件によっては必要なものであるが、ドアのない前面非貫通の車両のほうが設計の自由度は大きい。

貫通路を備えた“顔”はオーソドックスだが標識灯や方向幕の位置で各社の表情が生まれる。上は近鉄、下は南海の車両(写真:杉山 慧)

貫通ドアを備えた車両では、貫通路を構成するための幌の有無も印象を大きく変えた。一般に、幌は向かい合う先頭車の一方にのみ取り付け、連結の際は相手方に渡し掛ける運用になっている。車両の向きによって、幌を取り付けた先頭車と枠のみの先頭車に二分される。そして、幌が露出していると概して武骨な印象になり、JR東海のキハ85形貫通型先頭車などは、流線形の先頭形状に対応させるためアダプターまで備えた。しかし、近年はスマートさを重視する中で、畳んだ幌を車体内に収めて蓋で覆う車両が増えた。貫通路を隠す意味では、かつての485系や583系のスライド式カバーもそうであったが、最近の車両は閉じるとフラットになってしまう点が異なる。

貫通しない貫通路の意味

大都市通勤電車では貫通路はあるものの、それを併結した際に使用しない例も以前から多かった。また近年、首都圏の私鉄では複数の行先の編成の併結運転を取り止め、最初から別の列車として長編成の固定編成で運転するようになった。都心側の運転頻度の向上、郊外側での輸送力確保が表の理由だが、分割併合に割く要員を削減する意図もある。それは貫通路があるのに幌はセットしなかった事例にも当てはまる。

さらにもう1つ、以前は車掌が車内を巡回する機会も多かったが、カードの普及に伴い検札業務がなくなった。その面でも先頭車両を貫通させる意味が薄らぎ幌の存在も目立たなくなってきている。現在の車両先頭のドアは、貫通より非常用を目的としたものが多い。

その一方、まったく趣旨は違うが、JR西日本の電車の顔に備わる新たな装置として転落防止幌がある。ホームから車両間に転落するのを防ぐ装置で、中間車の連結面では全国的に普及したが、先頭車同士の連結を考慮して先頭車にも備えているのはJR西日本だけである。

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