新幹線vs航空、実は疑わしい「4時間の壁」の根拠 鉄道が3時間台でも「航空が圧勝」の区間も
一方、関門海峡をまたぐ東京圏―福岡間は小倉、博多いずれも新幹線の所要時間が4時間を大きく超え5時間に迫るため、新幹線と航空のシェアは10対90で、航空が新幹線を逆転する。羽田―福岡間の飛行時間は約1時間50分で、新幹線の半分以下。福岡空港が市街地に近く、空港から博多駅まで地下鉄でわずか5分の距離であることも航空優位の理由に挙げられそうだ。
JR西日本によると、東京圏―山口間は鉄道26.0%、航空74.0%で航空のほうが強い。東京―新山口間は約4時間20分。新山口に次いで利用者の多い東京―徳山間も4時間以上かかる。東京圏からみると、広島県と山口県の間に4時間の壁が存在することになる。
続いて、関西と九州の移動について見ていこう。JR西日本によれば京阪神―熊本間の新幹線の所要時間は約3時間、最速2時間57分。新幹線と航空機のシェアは新幹線61.7%、航空38.3%で鉄道のほうが優位だ。熊本駅は繁華街の下通(しもとおり)まで路面電車で15〜20分かかるが、阿蘇くまもと空港からは空港リムジンバスで約50分かかるので、この点でも鉄道の時間的優位は揺るがない。
4時間を切っても航空優位が続く
ところが、新大阪―鹿児島中央間の所要時間は「みずほ」を使えば最短で3時間41分で4時間を切っているにもかかわらず、京阪神―鹿児島中央間のシェアは新幹線25.1%、航空74.9%と航空の圧勝だ。新幹線の鹿児島中央駅は、繁華街の天文館まで路面電車で7〜8分の距離だが、鹿児島空港からだと空港リムジンバスで約50分かかる。それでも新幹線は航空機にかなわない。
新幹線は利用されていないのだろうか。JR九州の担当者は、「鹿児島中央から新大阪までの直通運転実現の効果は想定以上だった」と語り、この見方を否定する。2011年の九州新幹線全線開業当初、関西まで相互直通運転する列車は1時間当たり1本の計15往復だったが、現在は1時間当たり1〜2本の23往復だ。新幹線は大健闘している。
とはいえ、九州新幹線鹿児島ルートが2011年に全線開業してから9年が経過した現在も、依然として航空が優位という事実は、4時間の壁がつねに当てはまるものではないことを示している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら