現在より優雅、往年の「欧州国際急行」のド迫力 食堂車や運転室内…かつての名列車を写真で

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この2つの列車は、パリ―ボルドー間580kmを最高時速200km、ノンストップ3時間50分で結ぶ列車で、当時の客車列車では世界一の表定速度151kmを誇っていた。独特の前面デザインで「ゲンコツ型」と呼ばれたCC6500形電気機関車の前面に取り付けられた重厚なヘッドマークと、客車のサイドに光る金文字の「TRANS EUROP EXPRESS」が今も強く印象に残っている。

「ミストラル」の食堂車。一時は美容室まで備え豪華設備を誇る列車として知られた(筆者撮影)

このオーステルリッツ駅からセーヌ川を渡ったパリ・リヨン駅(Gare de Lyon)からはTEE「ミストラル」が南仏のリゾート地・ニースへと向かっていた。「ミストラル形」といわれたステンレス客車はレストラン、バー、ブティックや一時は美容室まで備えており、高級リゾートへ向かうにふさわしい豪華列車だった。正午すぎのパリ・リヨン駅は、ミストラルの10分後にミラノ行きのTEE「シザルパン」が発車し、ホーム上は華やいだ雰囲気に包まれていた。

「前面展望車」の元祖も

パリからの「シザルパン」が到着するミラノ中央駅は壮大なドーム屋根のホームで知られる巨大ターミナルだ。TEE全盛期には、流線形のデザインにTEEのエンブレムも誇らしいスイスの「エーデルワイス」「ゴッタルド」をはじめ数多くのTEEが発着していたが、なんといっても花形は「セッテベロ」だった。

この列車に使われたETR300形は当時のヨーロッパでは珍しかった電車方式で、運転台を2階に上げて先頭に展望室を設けた斬新な構造で1953年に登場し、日本の私鉄特急に大きな影響を与えた。特に名鉄パノラマカー7000系は、当時渡欧した名鉄社長が気に入り「同じような特急電車を……」と参考にしたという話が知られている。ヨーロッパの名列車はさまざまな形で日本の列車にも影響を与えている。

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