アパレル苦境下で200%伸びたブランドの正体 「広告宣伝しない」「セールもしない」で成長
こうした緻密な在庫管理の効果もあって、同社の在庫消化率は、98%。一般的に「プロパー価格で60%消化したら上出来」とも言われる業界水準とは、大きな差がある。売れ残った2%は在庫として抱え、シーズンを過ぎても販売を続ける。商品廃棄は「これまで一切していない」という。
同社はブランド設立当時から「健康的な消費」というコンセプトを掲げているが、見事それを体現しているといえる。
コストへの姿勢は、コロナ禍での対応にも表れていた。普段、商品ページにはプロのモデルを起用しているが、スタジオ撮影ができないコロナ自粛中は、メンズアイテムについてはマール氏自らがモデルをした。三脚を利用し、自宅で撮って出しをしている。コストもかからず、顧客からの反応も上々だった。
SNSでの発信方法へのこだわりは…
foufouの特徴は、SNSでの発信にもある。
普段はLINE@やインスタグラム、noteなどで新作情報やブランド理念を発信しているが、それに加え、全国各地で試着会(展示会)を実施している。実店舗を持たないブランドながら、ファンに直接商品をアピールする試みだ。
ここ数カ月は、新型コロナの影響で試着会は中止に。そこで、インスタグラムでのライブ配信に注力してきた。インスタライブでの販売自体は目新しいものではないが、foufouがちょっと面白いのは、モデルではなく、それぞれ身長が異なるスタッフが商品を試着し、動画で服をアピールしている点だ。
コメント欄には、視聴者から「162cmだとSとMどちらがいいですか?」などの質問が飛び交う。その一つひとつに、スタッフとデザイナーが直接回答し、相互コミュニケーションを欠かさない。
マール氏は「ライブ配信で重要なのは対話。こちらから説明しすぎず『ツッコミどころ』を意識して発信しています。顧客の発言ハードルを下げ、コメントが集まる仕組みをつくることが大事。レガシーブランドは、ビジュアルを重視して、なかなかできないことかもしれませんが……」と語る。
その言葉のとおり、インスタライブ配信の会場は、質素な作業場だ。手作り感あふれるアットホームな空気だからこそ、顧客も参加しやすいのだという。
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