初売りの熱気は一場の夢、激化する百貨店の生存競争

こうした中、今年の目玉は銀座戦争だ。秋をメドに銀座三越は店舗面積を約1・8倍増床し、銀座・有楽町地区での売り上げ首位を狙う。隣接する松屋にとっては大きな脅威になる。百貨店は近年、三越伊勢丹やJ・フロント リテイリングなどの大陣営に集約されているが、松屋は数少ない独立派。銀座本店に経営資源を集中させ生き残りを図るが先行きは厳しい。恵まれた立地ゆえ、投資ファンドの標的にされたこともあるだけに、動向が注目される。

11~12年には大阪戦争が待ち構えている。阪急うめだ本店の建て替え、大丸梅田店の増床、そしてJR大阪三越伊勢丹のオープンなどが予定されており、同地区の百貨店売り場面積は大きく拡大する。不況が本格化する前から計画されていたとはいえ、過剰感が出るのは必至なだけに、集客力の差で優劣が分かれそうだ。

専門店誘致に活路

一方で、格安衣料品など専門店を誘致する動きも活発化している。今春には高島屋新宿店にユニクロ、松坂屋銀座店に米格安カジュアルブランド「フォーエバー21」が出店するもよう。同じエリアに出店されて負けるくらいなら、むしろ自社店舗内に取り込んだほうが得策というデベロッパー的発想だ。こうした人気専門店の誘致は集客だけでなく、自社売り場の圧縮による経費削減にもつながる。すでに、地方などの百貨店の中には、専門店を集めたショッピングセンターなどへ転換を図る動きも出てきている。

従来路線の付加価値を維持しようという百貨店もあるが、どこまで粘れるか正念場だろう。最大のネックは価格。流通業界に詳しいオチマーケティングオフィス代表の生地雅之氏が「百貨店はまだまだ定価が高い。昨年12月以降、高単価のコートで値引き率が大きい店が健闘している」と指摘するように、身の丈消費のトレンドを無視することはできないはずだ。

市場規模が縮む中で、残存者利益を享受する百貨店はどこなのか。いよいよ生存競争が本格化する。

(撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • ドラの視点
  • 精神医療を問う
  • 今見るべきネット配信番組
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT