初売りの熱気は一場の夢、激化する百貨店の生存競争

8000人の行列--。1月2日、東京・日本橋三越本店には寒空の下、昨年を3000人も上回る人が初売り開店前に列をなした。目当ては「不況時は願かけもあって売れる」という福袋やセールだ。

大手百貨店の昨年12月の既存店売上高(速報値)は各社とも前年同月比1ケタ減と、長らく続いた2ケタ減から改善。年明けの出足もほぼ前年並みと、最悪期は脱したかのように見える。

だが、“復調”に対しては「目立つのはアジア系観光客」「昨年12月のセール前倒しの影響で1月は期待できない」との見方が大勢。消費低迷下、今年も厳しい環境が続くことに変わりはない。

2009年の百貨店売上高は、客単価の下落や高額商品の不振を受け、前年の7兆3813億円から7兆円を大きく割り込む公算だ。デフレ下で好調を謳歌するユニクロやニトリなど低価格に強みを持つ専門店とは対照的に、百貨店業界には目下リストラの嵐が吹き荒れている。

三越伊勢丹ホールディングス傘下の三越では正社員の4分の1に相当する約1600人が早期退職に手を挙げた。松屋も先月、120名程度の人員削減と浅草店の売り場面積を約6割縮小するリストラ策を発表。「単店黒字化が難しい」のが理由だが、銀座本店も10年2月期は営業赤字に転落する見込みという。また、北陸地盤の大和は1月までに約470人、大阪の近鉄百貨店も2月までに約400人の希望退職を募集する。

不景気でも相次ぐ増床

縮小均衡が進む中、今後は残されたパイ争いが一段と激しくなると予想される。勝負のカギを握るのは「売り場面積を増やせるかと同時に、面積当たりのコストをどれだけ下げられるか」と、野村証券金融経済研究所の正田雅史・小売業界担当アナリストは指摘する。生き残れるのは「投資能力のある一握りの百貨店だけ」(同氏)と、不況下でも攻めの戦略が必要と見る。

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