新型コロナの第2波よりも恐ろしい東京の危機 首都直下地震なら死者約2万人、被害額95兆円
だが今後30年間で、マグニチュード7前後の地震が起きるというのは、統計からいって間違いない。日本が地球上最大の地震発生地帯にある以上、地震は避けられないのだ。
新型コロナと巨大地震の共通点
地震と今回の新型コロナウイルス(COVID-19)には似ている点が多い。まず、どちらも決定的な部分が解明できていない。したがって、万全の備えをするということは不可能である。
どんなことが起こるかわからないので、起こりうる最悪の状況を想定し、それに対してすべて備えようとすれば、巨額の社会資本を投下しなければならず、被害を過少に見積もれば、対策そのものが意味をなさないことは今回のCOVID-19対策の初動を見ても明らかだ。
わからない以上、備えようがない。マスクひとつとっても、もはやマスク着用は日本人としての義務かのごとくになっており、マスクをせずに外出しようものなら直ちに「社会人失格」の烙印を押されそうだが、真夏の炎天下でマスクにどれほどCOVID-19対策に効果があるかは依然不透明である。
一方、地震はそのメカニズムや、過去にどれだけの地震が、どこで起きたかはわかっていても、肝心のいつ、どこで、どれくらいの規模の地震が起きるかは、依然として予知不可能なままだ。人類は月や火星にはロケットを飛ばしていても、自分の足もとである地球内部のことは、ほとんどわかっていないのである。
何百年と研究を続けてきている地震でさえ、いまだに正体不明なのだから、わずか半年ほど前に人間社会に現れた新型コロナウイルスが謎だらけなのは当然だ。
WHOがパンデミックを宣言してから、世界各国の新型コロナウイルスの感染状況の累計(2020年6月20日現在)を見ると、アメリカ217万2212人(死者11万8205人)、ブラジル97万8142人(死者4万4418人)、イギリス30万0473人(死者4万2288人)、ドイツ18万7764人(8856人)、中国8万4970人(死者4645人)、韓国1万2373人(死者280人)、台湾446人(死者7人)、日本1万7799人(死者952人)である。
日本の感染者数と死亡者数をアメリカ、ヨーロッパと比べると明らかに日本は少ない。日本だけなく中国も含め東アジアの国々は、一様に少ないのがCOVID-19の特徴である。
日本人にとっては喜ばしいニュースであるものの、その原因は何かということになると、まったく推論の域を出ない。東アジアの国々では、台湾の死亡者数が7人というのは、人口2300万人とはいえ、いささか驚く。
中国と台湾では2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行、韓国は2015年にMERS(中東呼吸器症候群)がはやった。日本はいずれも国内の流行は避けられた。台湾と韓国は、このときの経験があってCOVID-19への防疫体制が速やかだったという説もある。反対に、日本は過去2回の新型ウイルス流行を免れたため、初動で遅れが生じた可能性がある。過去の体験が、社会にとっての免疫となることもあるのだ。
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