他人の投稿「リツイート」法的責任は問われるか 過去には投稿主の発言と同じ扱いとの見解も

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今回の岩上さんのリツイートについても、「元ツイートの内容に賛同する旨の意思を示す表現行為としての被告自身の発言ないし意見でもあると解するのが相当」として、内容について責任を負うべきと結論づけました(岩上さんが控訴)。

現状は「ケース・バイ・ケースの判断」

このように、過去の裁判では、リツイートについて「投稿主の発言行為」「主体的な表現行為」「賛同する意思を示して行う表現行為」と判断されています。

これら3つの裁判例を元に、伊藤さん側は訴状で「投稿者がリツイートした意図が理解できるような特段の事情が認められない限り、リツイートの投稿者がフォロワーに対し、ツイートの内容に賛同する意思を示して行う表現行為と解釈するのが相当」と主張しています。

また、被告の1人の男性については、伊藤さんを揶揄する他のツイートについても「いいね」をしていることから、「賛同する意思を示して行う表現行為としての男性自身の発言ないし意見であるとも解すべき」と指摘しています。

リツイートの法的責任について、どのように考えればよいのでしょうか。

中澤弁護士は「裁判所の考え方も定まった部分がない領域で、ケース・バイ・ケースの判断になっているのが現状です。私個人の見解としても、リツイートだからセーフ、リツイートでも違法ということではなく、リツイートか否かは、法的判断に決定的な影響を与える要素ではないと考えています」と話します。

「リツイートは『他人のツイートをリツイートボタンを用いて自身のタイムライン上でも紹介する』という行為で、これ自体はニュートラルな行為です。他人のツイートを用いた自身の表現として行う場合もあるでしょうし、他人のツイートに対する反対を表明する場合もあるでしょう

リツイート対象のツイートの内容を基礎に、前後のタイムラインの流れなども加味して、これをリツイートすることはどういう意味かということを外形的に判断してゆくべきだと思います。

対象となるリツイート元の内容によっては、単なるリツイートだけでも、元のツイートをした人と同様の責任を負う場合もあるでしょうし、単にリツイートしただけでは足りず、その後の自身のツイートでの積極的な言及まであって初めて責任が発生する場合もあるでしょう」

裁判所がどのように判断するか、注目が集まっています。

<取材協力弁護士>

中澤 佑一(なかざわ・ゆういち)弁護士

発信者情報開示請求や削除請求などインターネット上で発生する権利侵害への対処を多く取り扱う。2013年に『インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル(中央経済社)』を出版。弁護士業務の傍らGoogleなどの資格証明書の取得代行を行う「海外法人登記取得代行センター Online」<https://touki.world/web-shop/>も運営。

事務所名:弁護士法人戸田総合法律事務所
事務所URL:http://todasogo.jp

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