日経平均652円安、仕掛け売りが出た明確な証拠 FOMC後の円高だけが大幅下落の理由ではない

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 6月11日、東京株式市場で日経平均は大幅に反落した。写真は2017年8月、東京で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 11日 ロイター] - 11日の東京株式市場で日経平均は大幅に反落した。前日海外時間にダウとS&P500が続落したことや外為市場で一時106円台まで円高が進んだことなどが嫌気され、急落して始まった。朝方の売りが一巡した後はマイナス圏で一進一退の動きとなっていたが、後場、短期筋による仕掛け的な売りが強まり下げ幅が拡大した。

10日の連邦公開市場委員会(FOMC)はハト派的だったとの受け止め方が多く、米金利低下、ドル安の流れの中で東京時間を迎えた。朝方の日本株は輸出関連株や銀行など金融株を中心に売り優勢で、寄り付きの日経平均は前営業日比276円93銭安の2万2848円02銭と反落スタートした。

その後、前場引けにかけて2万2800━2万2900円台で推移していたが、後場寄りから下げの勢いが強くなった。ここまでの急ピッチの上昇で高値警戒感が強まっていたことや、6月限日経平均先物・オプションの最終決済に関わる日経平均のSQ(特別清算指数)算出をあすに控え仕掛け的な売りが出たとみられている。

市場からは「悪材料が出てないファーストリテイリング <9983.T>が売られているところが特徴的。メジャーSQ前に売り仕掛けが入ったとみるのが自然」(ネット系証券)との指摘や、「売るから下がる、下がるから売る構図だ」(外資系証券トレーダー)との声も出ていた。

ファーストリテは前日比4.12%安で取引を終了。そのほか指数寄与度の高いソフトバンクグループ<9984.T>なども売られた。

TOPIXは3日続落。東証33業種では、その他製品を除く32業種が値下がり。値下がり率上位には、海運、空運、鉱業、保険、鉄鋼などが入った。

このほか個別では、りらいあコミュニケーションズ<4708.T>が大幅反落。東京電力エナジーパートナーから委託を受けた電気・ガスの電話勧誘業務で、顧客との会話を録音したデータを改ざん・捏造していたとの報道が嫌気された。一方、ライクキッズ<6065.T>は大幅高。ライク<2462.T>が同社に対して株式公開買い付け(TOB)を実施すると9日に発表したことが引き続き材料視された。

東証1部の騰落数は、値上がり203柄に対し、値下がりが1939銘柄、変わらずが27銘柄だった。

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