「コロナ後の旅行」は"3つの点"で大きく変わる インバウンドブームの終わりと始まり

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日本の観光地も、自分たちの大切な文化や自然に負荷をかけていなかったか、もう一度見つめ直してもよいと思います。とくに近年のインバウンドブームで多くの観光客が押し寄せていた人気エリアでは、まだ観光客が戻らない間に、しっかりと持続可能な観光地としての規制を作っておく機会にできるかもしれません。

③デジタル、身体性、旅の楽しみ方が変わる

コロナ後は、旅前や旅中の楽しみ方にも色々な変化が起きそうです。
1つは「デジタル」の融合です。すでにオンライン地図やさまざまなオンライン予約サービスが旅には欠かせないものになっていますが、今回のコロナの影響で、「そこに行かなくてもデジタルで楽しめる」と感じるものが増えています。

例えば、美術館のデジタル化です。国内外の美術館がオンライン展示に取り組んでいますが、パリのグランパレでは、3月から6月までポンペイ展開催が予定されていましたが、コロナの影響で休館となったため、遺跡発掘の様子が3Dで再構成されたヴァーチャルツアーが人気となっているそうです。

美術館だけに限らず、まずオンラインのコンテンツで体験して、その後、実際に旅で訪れてみるというような旅の楽しみ方も増えてくるかもしません。

例えば、体験アクティビティも「旅前にオンラインレクチャー、旅中はリアルで、旅後は一緒に参加したみんなとオンラインでつながる」といった形で、デジタルを融合させていくことでより付加価値が高まる可能性があります。

そしてデジタル化が進む一方で、リアルの旅における「身体性」のニーズも高まると思います。

「デジタル体験」と「身体性を刺激する体験」を

リモートワークでオンライン会議をされた方は、視覚と聴覚に依存した会話を実感されたと思います。上記のようなデジタルの融合が進んでも、スマートフォンやパソコンのような通常のデバイスだと、なかなかそれ以外の感覚を刺激するのが難しいのです。

したがって、実際にリアルな観光地で旅人たちが求めるのは、それ以外の五感も含めた身体性での楽しみです。

画面上の絶景では伝わらなかった肌にあたる風や水の感覚やにおい、お取り寄せグルメだけでは想像することしかできなかった、その場の雰囲気とセットで楽しめる地域の味。そして、対面でコミュニケーションをするときの独特の空気や間。

こういった、ある意味でデジタル体験のコントラストとなるような身体性を刺激する体験は、観光地の魅力をさらに高めていくはずです。

このように、コロナ危機を経て、観光ビジネスや旅人のニーズに大きな変化が訪れ、加速する可能性は高いと感じます。日本の地域がコロナ後も、世界に向けた観光地として生き残っていくためには、こうした視点を考えることが長い目で見て競争力を高める機会になるはずです。

岡本 岳大 wondertrunk & co.代表取締役共同CEO、デスティネーションプロデューサー

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おかもと たけひろ / Takehiro Okamoto

東京都出身。2005年博報堂入社、統合キャンペーンの企画制作に携わる。2010年より世界17カ国の市場で、観光庁・日本政府観光局(JNTO)のビジット・ジャパン・キャンペーンを担当。沖縄観光映像「一人行」でTudou Film Festivalグランプリ受賞、ビジットジャパンキャンペーン韓国で大韓民国広告大賞など、インバウンド案件での受賞多数。国際観光学会会員。 2016年7月、博報堂DYホールディングスの旅行・インバウンド専門会社として、wondertrunk & co.(ワンダートランク アンド カンパニー)を設立。日本の地方を世界の観光地にしていくデスティネーションプロデュースを手掛けている。

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