地味な横須賀線「E217系」はJR東の歴史を変えた カシオペアや四季島のルーツにもなった?

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瀬戸大橋線経由で岡山―高松間を結ぶ快速「マリンライナー」は1988年の運行開始からJR西日本213系を使用していた。高松の1号車にハイデッキ構造のパノラマグリーン車を連結し、2号車を普通車指定席として運行してきたが、2003年から後継車のJR四国5000系、JR西日本223系5000番代を投入して213系を置き換えた。

快速「マリンライナー」として走るJR四国5000系(写真:ゴスペル/PIXTA)

JR四国5000系は高松方の3両編成で、223系5000番代2両編成と連結するのが基本となっている。5000系のうち、2、3号車は普通車自由席で223系5000番代の同形車。一方1号車の5100形は、従来のグリーン車と普通車指定席を兼ね備えた2階建て合造車とした。そのため5100形はE217系の2階建てグリーン車をベースとした。そのため5100形と他の5000系の車体形状はまったく異なるほか、台車も他の5000系用台車(S-DT63形・S-TR63形)とは異なる形状のS-TR64形を装着している。

先頭部はオリジナルデザインとし、運転台は223系に準じたツーハンドルマスコンを採用。客室は運転台側の平屋4席がグリーンパノラマ席、2階をグリーン席とし、1階および連結部平屋を普通車指定席とした。グリーン席、普通席ともリクライニングシートを採用。シートピッチはグリーン席が970mm、普通席が920mmと異なり、リクライニング角度もグリーン席のほうが深い。

連結部の平屋は車いす対応普通席2席と車いすスペース、多目的トイレ、男子トイレを設置。デッキと平屋席の間はパーティションを設置し、通路幅を広くしたほか、トイレ側には仕切壁を設置しないなど、E217系と見付けが大きく異なる。

第2の職場はジャカルタ?

E235系に置き換えられたE217系は製造から21〜27年経過しており、他線区へ転用されずに廃車となる公算が大きい。今のところJR東日本から公式のリリースは出ていないが、インドネシア・ジャカルタのKRLジャボタペックへの譲渡も噂されている。

現在ジャカルタへは武蔵野線を引退した205系の譲渡が進んでおり、それ以前には103系や203系が譲渡されたほか、日本の私鉄車両も譲渡されている。

一方、インドネシア政府は電車の国産化を目指しており、2020年には国産電車が登場すると言われており、今後は電車の輸入を禁止するとも言われている。しかし、2001年に導入した国産電車は失敗に終わっており、まだ技術的に成熟していない可能性も否定できず、その際にはE217系に白羽の矢が立つことは確実。

そんなE217系だが、横須賀・総武快速線での活躍を見届けたい。

松沼 猛 『鉄おも!』編集長

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まつぬま たける / Takeru Matsunuma

大阪府出身。明治大学文学部卒。株式会社三栄書房に20年間在籍し、編集者として世界各地を飛び回った。2008年12月から『鉄道のテクノロジー』編集長を務めた後、2013年5月に独立。現在は『鉄おも!』編集長のほか、『鉄道ジャーナル』『ニューモデルマガジンX』『カーグッズマガジン』、鉄道、自動車関連ムックなどに執筆。

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