「東芝だけが黒字」な理由、テレビ事業復活の舞台裏(上)

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 こだわりは、機能、画質、デザイン、あらゆる面に貫かれた。たとえば外部端子。コスト優先なら2系統、商品性を考えると3系統は欲しい。1端子分のコスト増は100円玉程度になる。猛烈な議論の末、3系統に決定した。画像用LSIでは、半導体設計者が大量の機能を詰め込み、「趣味で作るな」と批判が出たが、「本物を作る」と封じ込めた。

結果が出なければ、それは単なる自己満足と戦略ミス。だが、レグザは評判を上げ、大ヒットとなった。

厳しい環境下でこだわりを押し通すことができたのは、消費者行動の変化の読みに確信があったからだ。レグザ発表の06年当時、若者を中心にインターネット口コミ情報を参照して購入する形が定着していた。専門誌や評論家に、レグザのこだわりに着目、評価してもらうことで、一般への口コミパワーを期待した。

もともと04年から他社のパソコン用外付けHDD(ハードディスク駆動装置)を利用可能なモデルを出すなど、AV機器に詳しいユーザーの心をくすぐる努力をしてきた。それがレグザのこだわりと相まって、「(マイナーだが)画像がきれい」「外付けHDDを使えてお得」といった評価がネット上で定着した。

口コミサイト「価格.com」を運営するカカクコムの鎌田剛執行役員は、「サイトでの人気はシャープのアクオスが圧倒的だったが、06年秋ごろレグザが急上昇。08年には一番人気を確立した」と証言する。

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