「東芝だけが黒字」な理由、テレビ事業復活の舞台裏(上)

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「東芝だけが黒字」な理由、テレビ事業復活の舞台裏(上)

年末商戦も薄型テレビは人気だが、国内メーカーはまるで儲からない。2008年度、国内首位のシャープ、2位のパナソニックはともに営業赤字。世界2位のソニーに至ってはテレビ事業だけで、1300億円の営業赤字を計上した。

上位総崩れの中、唯一黒字を確保しているのが、事業規模で劣る東芝だ。実際、東芝のテレビ事業は絶好調。国内シェアは06年の1ケタから09年には20%目前と約3倍に上昇した。しかも一貫してシェアを伸ばしているのは東芝だけ。この同社だけのテレビ黒字を、業界通は“電機業界七不思議の一つ”と呼ぶ。

シェアどん底からの復活 「本物」志向で口コミ呼ぶ

06年2月21日、東芝は薄型テレビの新ブランド「REGZA(レグザ)」を発表した。会場は前年末にオープンしたばかりの超高級ホテル、マンダリンオリエンタル東京。華々しさの裏側で、実は、東芝のテレビ事業は危機に瀕していた。

1990年代のブラウン管時代を経て、時代は薄型テレビへ入ったとき、東芝は大きく出遅れた。03年に液晶テレビに参入するも不振、国内シェアは1ケタ台に落ち込む。現場は「事業の危機を肌で感じていた」(映像グローバルマーケティング部の本村裕史氏)。起死回生を懸け、満を持して投入したのがレグザだ。

レグザの商品企画を担当する本村氏らは、どん底からはい上がるには小手先ではダメ、徹底的に商品性にこだわるしかない、と考えた。ブランドコンセプトを「本物のテレビを作る」とし、高級ホテルでの発表会は、「本物を作るという社内へのメッセージだった」(同氏)という。

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