意外?在来線より「新幹線のほうが安い区間」5選 一見「おトク」の背景には並行在来線問題も

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山を突き抜けショートカット、飯山―上越妙高間

在来線で飯山(長野県)―上越妙高(新潟県)を行き来する場合、飯山から飯山線で豊野まで330円、豊野からしなの鉄道に乗り継いで妙高高原まで610円、妙高高原からえちごトキめき鉄道に乗り継いで上越妙高まで670円で、合計1610円だ。

しなの鉄道北しなの線を走る列車(写真:traway/PIXTA)

これが北陸新幹線を利用すると、乗車券510円、特急料金880円で合計1390円! 新幹線のほうが220円安いうえに、2時間も速い!

それもそのはず。在来線経由だと飯山―上越妙高間は73.0kmだが、新幹線は山をトンネルでブチ抜いているので29.6kmしかない。在来線はJRから分離され第三セクター化し、運賃が割高になった2社(しなの鉄道・えちごトキめき鉄道)経由となるのに加え、距離の差が大きいことによって新幹線の方が安くなっているのだ。豊野経由の在来線運賃はJRのままだったら1340円と、新幹線よりも安かった。

糸魚川―黒部宇奈月温泉間

糸魚川(新潟県)―黒部宇奈月温泉(富山県)間は、在来線だと糸魚川からえちごトキめき鉄道・あいの風とやま鉄道で魚津まで1220円、同駅に隣接する新魚津から富山地方鉄道に乗り換え、黒部宇奈月温泉駅に隣接する新黒部まで530円、合計1750円だ。

これが新幹線だと乗車券680円、特急料金880円の合計1560円で済んでしまい、190円安いうえに約1時間も速い。これも前述の飯山―上越妙高間と同様、在来線の場合は運賃が割高な三セクと私鉄を経由するためだ。

一見「おトク」に見えるものの…

在来線は三セク化で割高に、盛岡―新青森間

盛岡―新青森間はなんと178.4kmもの長距離にもかかわらず、在来線の普通列車を利用するほうが新幹線よりも高くついてしまうという衝撃的な区間である。

東京から約180kmといえば新白河(福島県)、上田(長野県)、静岡くらいの距離である。これで在来線より新幹線のほうが安いということは、北東北では実質追加料金なしで新幹線に乗れるようなものだ!

……と言うと一見おトクな感じに見えるのだが、これは新幹線開業時に並行在来線をJRから分離し、地元自治体出資の三セク鉄道に転換して運賃が大幅に値上げされてしまった結果であり、地元民にとっては何とも面白くない話なのである。それに加えて新幹線のほうが直線的なルートで距離が短い点も重なっている。

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