コロナ疲れの米国人が「オバマ」に癒やされる訳 トランプにとって「厄介な障害物」な前大統領

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5月16日アメリカでは、高校を卒業する生徒たちのためにオンライン卒業式「Graduate Together: America Honors the High School Class of 2020」が開催され、オバマ前アメリカ大統領も出演し、演説を行った(写真:EIF & XQ/Getty Images)
大統領選挙を控えるトランプが今でも厄介に感じる前任者の影響力とは。

5月10日の母の日、トランプ米大統領は愛息バロンの母親であるメラニア夫人よりもツイッターに多くの時間を費やし、100を超える前代未聞のツイートを連発した。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら

なかでも最も目についたのは、奇妙で不可解なオバマ前大統領への攻撃だ。オバマは歴史上最大の政治犯罪に関与したと、トランプは主張した。その犯罪とは何かとホワイトハウスの記者会見で問われると、トランプは「オバマゲート」と答えた。犯罪の具体的な中身には触れなかったが、「明々白々」で誰もが知っていることだと主張した。

徹底的に論破された陰謀論「オバマゲート」

オバマはアメリカ史上最もクリーンな政権を率いた大統領だった。一方、米連邦最高裁は今もトランプの犯罪や金融上の不正行為を捜査するかどうかを審理している。自分の犯罪の隠蔽に必死の大統領が、前任者の犯罪を創作してみせたわけだ。

どうやらオバマゲートとは、オバマ政権が次期トランプ政権を妨害するため、ディープステート(国家の内部で国家を動かしている機関)を指揮してロシアとの共謀のぬれ衣を着せたという疑惑のことらしい。

中立的立場のコメンテーターや捜査員によって徹底的に論破され、嘲笑された主張だが、この陰謀論からトランプがオバマの存在を強く意識していることがわかる。11月の大統領選で再選を狙うトランプにとって、オバマは厄介な障害物として浮上しつつある。

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