コロナ禍で「遠距離結婚を解消」した夫婦の選択 「通い婚」がリモートワークのおかげで同居に

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これを受けて真由美さんはとくに驚くこともなかったと言いますが、1つ心の中で決意が生まれました。それは、ゴローさんとの結婚です。

「プロポーズはゴローがしてくれたんですけど、実はずっと私からせまってたんです(苦笑)」と真由美さん。

「ゴローの思いを考えれば宇都宮と和歌山の遠距離は別に気にとめるようなことではなかったです。ただ、私は35歳という女性の年齢的な節目を迎えようとしていましたし、何度も、いつ結婚するの?とちょいちょい突っつくようになってましたね。しまいには、“今年中に結婚しないなら勝手に婚姻届け出してやる!”と迫ったんです。将来子どもが欲しいという思いもありましたし、35歳になるまでには!という思いがありましたね」

「そうなんですよ、なので僕は2択でした。プロポーズして結婚するか、またはプロポーズせずに自動的に入籍されるかです(笑)。結婚しないという選択肢はなかったですね。真由美ちゃんポジティブなんですよ」

となんとも微笑ましいやりとり。

そして2人はゴローさんからのプロポーズを経て結婚。

「積極的遠距離結婚」から週末婚へ

ゴローさんは公言どおり退職し、地元和歌山でビルの2階、3階を借りてゲストハウスをオープン。しかし、すぐに軌道に乗るかもわからない、収入も不安定、事業だってうまくいくかわからないという状況ですし、真由美さんもこの頃とても仕事に燃えていた時期でしたので、「お互いに今やるべきことをやろう。一緒に住むのは後でもいいよね。遠距離だとつねに新鮮だしね!」とあえて“積極的遠距離結婚”という形をとることになりました。

“積極的遠距離結婚”をご両親に報告した際、どちらのご両親も「2人で決めたことでお互い納得しているならいい。今の時代、結婚もいろんな形があっていい」とすぐに理解してくれたと言います。

そうしているうちに、なんと、異動届を出していないのにもかかわらず、真由美さんは宇都宮から大阪への転勤が決まったのです。

2年前筆者も参列させていただいたゴローさんと真由美さんの挙式は、「積極的遠距離結婚2018東京和歌山ツアー」と題して、なんと東京と和歌山の2カ所で開催(筆者は東京ツアーに参列)。

以前お世話になった宇都宮の仲間にも来てほしい、そして、ゴローさんの学生時代の仲間が多い東京と、親戚や今お世話になっている方々が多い和歌山ということで2カ所。さらには大阪と和歌山と言えど特急で4時間もかかるほど離れているので、東京挙式の際2人は羽田空港集合解散。新婚旅行も空港集合空港解散だったというユニークさ。とにかく「離れている」ということをどこまでも楽しむようなお二人です。

結婚生活がスタートしてからというもの、真由美さんは月1~2回、特急列車に4時間揺られ和歌山のゴローさんのところへ通っていました。ゴローさんは実家暮らしで、週末にはゴローさんのご両親も義娘に会えることを楽しみしていたそうです。

真由美さんが来る週末には、和歌山県内の観光をしたり、お友達が営むお店においしいたこ焼きを食べに行ったり、田舎の大自然に癒されたいという真由美さんを毎回温泉へ連れていっていたと言います。ゴローさんが仕事で忙しいときには、真由美さんは和歌山で知り合った友人らと遊びに出かけ、ゴローさんが仕事の終わる時間に合わせて帰宅するなど、和歌山での交流も楽しむようになっていったそう。

「とにかく一緒にいる時間が限られているので、けんかなんてしてる場合じゃないんですよね。夫婦と言えど、離れているからこその毎回新鮮なデートは楽しんでいた感じです」とゴローさん。

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