捕獲数を減らし自滅、調査捕鯨訴訟で完敗

国際司法裁判所が「科学目的ではない」と指摘

調査捕鯨は日本沿岸でも行われている(写真:ロイター/アフロ)

判決は日本にとって予想外に厳しいものだった。国際司法裁判所(ICJ)は3月31日、日本が南極海で行っている第2期調査捕鯨について、中止命令を下した。

日本は1987年に第1期の調査捕鯨を開始。今回の裁判は2005年度からの第2期調査が実質的な商業捕鯨であるとして、10年に反捕鯨国のオーストラリアが提訴。日本は国際捕鯨取締条約第8条で認められた調査捕鯨だと反論したが、ICJは同条が規定した科学的研究のため、とは認められないと判断した。

ICJは一審制で上訴できない。菅義偉官房長官は「国際法秩序および法の支配を重視する国家として、判決には従う」との談話を発表。水産庁は今年の年末に予定していた次の南極海での調査も取りやめる方針を示している。

主な敗因は、クジラの捕獲数を意図的に削減したことにある。日本は第2期調査で、南極海でのミンククジラの捕獲数を、それまでの440頭から850頭プラスマイナス10%(765~935頭)へ拡大し、ザトウクジラやナガスクジラも新たに捕獲対象に加えた。筆者は国際捕鯨委員会代表代理のときに、この計画策定の陣頭指揮を執った。

捕獲枠拡大の目的は3つ。①自然死亡率や妊娠率など生物学的な特性値の把握、②餌をめぐる鯨種間の競合関係の解明、③捕鯨の再開に必要なクジラの系統群情報の把握、だ。そのために必要な頭数を科学的に算出し、捕獲枠を決めた。

ところが実際の捕獲数は、06年度以降、捕獲枠に届いていない。ミンククジラは05年度こそ853頭と目標どおりだったが、06年度は505頭、12年度はわずか103頭にとどまっている。ザトウクジラはオーストラリアの反対に屈して一度も捕獲しておらず、ナガスクジラも捕獲枠50頭に対し、捕獲しているのは年1~2頭だ。環境保護団体による妨害の影響も一部あるとはいえ、この捕獲数では鯨種間競合の調査をすることはできず、生物学的な特性値を把握することも難しい。

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