トヨタの相次ぐ大量リコールは「悪」なのか 600万台リコールが映す、自動車業界の"現在地"

拡大
縮小

こうした状況は日本メーカーだけに限らない。米国でも、ゼネラルモーターズ(GM)が2月以降に全世界で630万台をリコール。最近では、クライスラーが86万台、フォードが43万台、BMWも中国で23万台のリコールを発表している。

大量リコールが相次ぐ理由

なぜ大量リコールが続くのか。多くの自動車関係者は3つの理由を挙げる。

トヨタの豊田社長は「リコール=悪と考えないでいただきたい」と語った

1つは、自動車の電子化が進みソフトウエア開発が複雑化したことで、不具合自体が増えているという見方。プリウスのリコールは、まさにこれに当る。

2つ目として、部品の共通化が進んだことで1つの不具合が多くの車種に影響するため、リコールとなった場合の規模が拡大する、という解説も多い。

もう1つ、2004年の三菱自動車のリコール隠しや2010年のトヨタの品質問題などを教訓に、日本メーカーが従来ならリコールをしなかった問題でもリコールで対処するようになったことで件数が増加している、という側面もある。

3月には、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ社長)が「リコールの判断が、以前の法令遵守や技術的な問題があるかどうかから、お客様の安心安全に変わってきている」「リコール=悪と考えないでいただきたい。間違いが見つかったときには即直して、お客様の安全安心を確保する。ご理解いただきたい」と述べている。

次ページ実は件数は増えていない
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT