コロナで苦しむフリーランスが免除されるお金 国民年金保険料は「臨時特例」が受けられる

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これが国民年金保険料の免除制度の基本的な仕組みですが、コロナの影響で収入が減少し、保険料が納付できなくなった場合についても免除が受けられることになっています。

①2020年2月以降、新型コロナウイルスの感染症の影響によって収入が減少したこと、②2020年2月以降の所得等の状況から見て、20年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になると見込まれること──をいずれも満たした場合、コロナ影響による特例の免除を受けることができます。

通常、前年や前々年の所得を基に免除が受けられるかが決まることになりますが、今回のコロナによる特例の場合、今年である2020年の所得でもって判定されます。

申請に当たっては2020年2月以降の任意の1カ月の所得から年間所得見込額を申告します。給与を受けている人であれば、任意の1カ月の給与収入に12を掛けて年額換算し、給与所得控除(給与収入に応じて65万円、あるいは65万円以上)を差し引いて年間の見込所得額を申告することになります。そして、免除が4段階で用意されている中で、所得基準を満たして該当する免除を受けることができます。

多くの免除を受けるためには、最も所得の少ない月の所得を基に申告することになるでしょう。また、学生についても、同様の方法による所得見込額の申告により、所得基準を満たせば学生納付特例で納付猶予を受けることができます。

このコロナによる免除の対象は2020年2月分から6月分まで(20年7月分以降については未定)、学生納付特例の対象は2020年2月分から2021年3月分までとなっています。

免除期間も「受給資格期間」に算入される

申請をして保険料の免除を受けると、どのような効果があるでしょうか。

65歳から老齢基礎年金を受けるためには受給資格期間が10年以上必要です。保険料を納めた期間(保険料納付済期間)だけでなく、免除が認められた期間(保険料免除期間)に関しては、必要なその受給資格期間に算入されることになります。

そして将来受けられる老齢基礎年金についてですが、20歳から60歳までの40年(480月)保険料納付済期間があれば、2020年度の場合、「78万1700円×480(保険料納付済期間として計算された月数)/480(年金の加入可能月数)」で計算し、受給できる年金額は満額の78万1700円になります。

免除を受けると、その種類に応じて、将来の老齢基礎年金に反映されます。計算式の分数の分母の数字は480のままですが、分子の数字については、月額の保険料を納付した月(保険料納付済期間と計算された月)は1で反映されるのに対し、2009年4月以降、全額免除を受けた月は2分の1、4分の3免除を受けた月は8分の5、半額免除の月は4分の3、4分の1免除の月は8分の7となって年金額に反映されることになります。当然のことながら、2020年2月分以降を対象とする、新型コロナウイルスの影響による免除期間もこれらの反映割合が適用されます。

2009年3月以前に免除を受けた場合は、全額免除については3分の1、4分の3免除については2分の1、半額免除については3分の2、4分の1免除については6分の5として反映されることになります。月額保険料の全額を納めていない月(全額免除を受けた月)であっても、国庫負担により、全額納付した場合の2分の1あるいは3分の1が年金額に反映されることになります。

学生が納付猶予を受ける学生納付特例の場合は、受給資格期間には算入されますが、年金額には反映されません。

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