パレスホテル、トップが語る「脱・丸の内」の秘策 新ブランド展開しM&Aも視野、非丸の内50%へ

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――2019年12月期は313億円の連結売上高のうち、丸の内比率は80%超、257億円です。10年後に連結売上高を500億円に伸ばすということでしょうか。

それぐらいの数字は出したい。(目標は)高ければ高いほど、挑戦しがいがある。2020年夏に大阪で開業する新ブランド「ゼンティス大阪」のように、当初はホテル事業を(東京以外の)各地域や、いずれは海外にも展開していくことを考えていた。

しかし、新型コロナウイルスでゼンティス大阪の開業延期を余儀なくされるなど、ホテル事業がものの見事にイベントリスクの影響を受ける(ボラティリティの高い)ビジネスであることを、まざまざと見せつけられた。地域リスクだけでなく、本気で事業リスクの分散を考えないと、会社として危ない。

(当社の)コア事業はあくまでホテルだが、今後10年間でホテルに関連するホスピタリティー系のスタートアップへの出資や協業を実施し、M&Aも手掛けたい。

リゾート地の単独事業はリスクが高い

――老朽化のため、2018年1月に閉館したパレスホテル箱根(神奈川県箱根町)の土地はどのように活用していきますか。

箱根は再びホテルを展開したい。ただ、(パレスホテル箱根のような)リゾートホテルは需要の変動が大きく、(同ホテルは)競合ホテルの進出が加速する箱根エリアの中でも電車が通っていない仙石原にある。(投資回収が)難しい案件だ。

(具体的にはパレスホテルが所有する)土地を貸すか売却して(他の事業者に)建物を作ってもらい、そこにホテルのオペレーターとして参入するなど、(事業の)リスクを低減させるため、いろいろなオプションを検討している。リゾート地において単独で事業を展開するのは、リスクが大きい。

――ラグジュアリーのグレードでフルサービス型ホテルの「パレスホテル」と、大阪に開業する宿泊主体型「ゼンティス」の2ブランドはどのようにすみ分けていきますか。

(仮に)開業案件が持ち込まれたら、客室の面積や間口、プールなど、ラグジュアリーホテル(の競争力)に必要な条件を満たす(広い)面積と立地の良さがあれば、パレスホテル(ブランド)を展開したい。箱根もパレスホテルブランドでやっていきたい。

それが難しい場合は、ゼンティスを考える。ゼンティスは異業種の参入が相次ぐ宿泊主体型のカテゴリーとはいえ、ホテリエ(ホテル経営者)のプライドとして、内装は外国人のデザイナーに依頼し、階段やフロントの位置といった動線にもこだわっている。一方、ターゲットとする30~40代のニーズに合わせて、バスタブを外すなどの工夫もしている、

ロンドンやニューヨークには(ゼンティスのように)客室は小さくとも、インテリアなどにこだわったアフォーダブルな(富裕層以外にも手が届く)ラグジュアリーホテルは数多く存在する。大阪の1号店を成功させて、2号店、3号店を(ほかの)大都市で展開できるようにしていきたい。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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