レムデシビルは日本救うコロナ治療薬となるか アメリカ発の新薬、国産アビガンより承認先行

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実際、4月には国際研究チームとギリアドがアメリカの医学誌にレムデシビルの投与で、症状が改善したと発表した。重症患者にレムデシビルを投与した結果、53人中36人(68%)で症状改善が見られたという。

アメリカでは、国立衛生研究所(NIH)が国際的な治験を実施中で、日本からは国立国際医療研究センターが参加している。中国でも治験が進んでおり、4月中にデータが出る見込みだ。

しかし、何よりも待たれるのがギリアドによる治験のデータだ。ギリアドは3月に治験の最終段階となる第3相試験をスタートした。中等度・重度の患者計7600人が参加する大規模な試験で、先行する中等度600人分のデータが5月下旬に、重度400人分(日本は含まず)のデータが今週にも公表される予定である。

新型コロナ候補薬として可能性を見極める重要なデータで、有効性・安全性が確認できれば、ギリアドは可能な限り早くアメリカ当局に承認申請する構え。安倍首相は、このような動向を踏まえたうえで、日本で「間もなく薬事承認が可能となる見込み」と発言したとみられる。

前例のないスピード審査か

医薬品の承認審査は通常1年程度かかるが、レムデシビルについては前例のないスピードで行われる見通しだ。加藤勝信・厚生労働相は4月28日の閣議後会見で、レムデシビルについて、「海外において、緊急的に使用される許可が下りた場合には、特例承認制度を活用した承認審査を速やかに進めていきたい」と語った。

特例承認は、国民の健康に重大な影響を与えるおそれがある病気の蔓延を防ぐために必要と判断され、日本と同水準の承認制度がある国で販売された製品が対象となる。通常の医薬品のように国内で臨床試をする必要がない。薬事承認の審査で用意する提出書類も少なくて済み、手続きが簡略化される。

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