万が一の時の「失業保険」結局いくら貰えるのか コロナ危機、年内に失業者100万人増の予測も

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「12カ月以上」という原則はありますが、例外もあります。それは、倒産や解雇など、会社都合で辞めざるをえない場合や有期労働契約で本人は契約更新を希望していたにもかかわらず、会社から契約が更新されず辞めるような場合。こうしたケースでは、離職日以前1年間に、被保険者期間が通算して「6カ月以上」あるときは対象になります。

では、転職して6カ月未満で解雇されてしまった場合はダメなのか、といえば、そうとも限りません。前職を退職してから転職までの空白期間が1年以内であり、退職したときに失業手当をもらっていなければ、前職の被保険者期間を通算してカウントすることができます。

時々、病気で休職中あるいは育児休業の途中で退職されてしまうケースがあります。このように、離職前2年間(倒産・解雇などの場合は1年間)の間に疾病、負傷、出産、育児などの理由により引き続き30日以上給与が支給されなかった場合は、これらの理由により給与が支給されなかった日数を加えた期間(加算後の期間が4年間を超えるときは4年間が最長)により、受給に必要な被保険者期間があるか判断されます。

給付日数の計算方法

失業手当で支給を受けることができる給付日数は、離職日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間と離職理由などによって、90~360日の間でそれぞれ決められます。かなり幅がありますが、働いていた期間が長ければ、もらえる日数は増える、というのは想像がつくと思います。

ここでさらに重要となるのは、退職理由です。転職目的など自己都合で辞めるのか、倒産・解雇など会社都合で辞めるのかでは、給付日数に大きな差があります。

例えば、自己都合で辞める場合、被保険者期間が1年以上10年未満は90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日が給付日数となります。一方、倒産や解雇など会社都合(具体的には特定受給資格者又は一部の特定理由離職者)は被保険者期間が1年未満であれば全年齢で一律90日ですが、1年以上は被保険者期間と年齢によって90~330日に。

仮に、30歳以上45歳未満で、被保険者であった期間が5年以上10年未満の場合は180日となり、自己都合の場合と比べて2倍の給付日数となります。あくまで一例で人によって異なりますので、ハローワークなどで確認してください。

では、もらえる金額はどのくらいになるのでしょうか? 失業手当で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。この基本手当日額は、原則として離職した日の直前6カ月に支払われた給与(賞与などを除きます)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます)の50~80%(60~64歳は45~80%)となっており、賃金の低い人ほど高い率となります。

ただし、基本手当日額は年齢区分ごとに上限額が定められており、2020年4月1日時点では、30歳未満が6815円、30歳以上45歳未満が7570円、45歳以上60歳未満が8330円、60歳以上65歳未満が7150円となっています。

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