トヨタ「新型ハリアー」異例ずくめ発表だった訳 全車種併売化の目玉車種にもコロナ禍の煽り

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ウェブ上で発表会を開くという手もあったが、トヨタはあえてプレスリリースのみの配信とした。トヨタ関係者は「新型コロナで社会が混乱している中、新車を大きく露出させることは『空気が読めない』『無神経』と言われる可能性もあった」と明かし、苦渋の判断だったことがうかがえる。

現時点でトヨタは詳細な発売日や価格を公表しておらず、予約注文も開始していない。新型ハリアーを紹介するホームページ では、「新型コロナウイルスの影響により、発売が変更になる可能性がある」との断りを入れている。首都圏のネッツ系販売会社の社長によると、トヨタによる新型ハリアーの販売会社向け勉強会は元々4月に予定されていたが、実施時期未定で延期になったという。

緊急事態宣言の解除などコロナの感染拡大に収束のメドがつけば、発表会といった形で正式に「お披露目」されることになるが、現時点ではその時期がまったく見通せないでいる。

新型コロナで販売現場は一変

「新型ハリアーを軸に併売化で新しいお客さんが取れるチャンスだと思っていたが、このコロナウイルスでまったく分からなくなった」

前出のネッツ系販売会社の社長は戸惑いを隠せない。この販売会社では2月に発売されたネッツチャネルの専売車種である新型「ヤリス」の販売が好調で、その勢いを全車種併売化後も持続したいと考えていたという。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、臨時休業するトヨタ販売店も(記者撮影)

それが新型コロナの感染拡大で環境は一変する。緊急事態宣言の発表後もこの販売会社は営業時間を短縮したうえで店舗の営業を続けている。自動車販売店は「社会生活を維持する上で必要な施設」として、休業要請の対象外の業種だからだ。車の修理やメンテナンスを通じて、人々の移動手段を守ることが求められている。

そうした事情もあり、この販売会社では4月と5月は営業目標を設定しないことにした。同社の社長は「感染リスクを避けるため、既存顧客には商談での来店を積極的には呼びかけられない。飛び込みの客も今は皆無。お店を開けているのは社会的使命からだ」と話す。

店舗や車両の除菌には相当気を使っているという。この会社では4月の新車受注台数は前年同月比で3~4割の減少を見込む。自社客で新型ハリアーに関心がある人にはダイレクトメール(DM)を郵送しているものの、「お客さんの消費マインドは相当下がっていて、新型ハリアーの商戦が盛り上がらない可能性が高い」(同社社長)と不安が募る一方だ。

次ページグローバル車種として期待していたが・・・
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