海外紙記者が見た東京「外出自粛」ヤバい実態 アメリカの友人から心配の声も上がっている
写真をソーシャルメディアに投稿すると、友人らは私たちの安全を心配した。そこで私は決心して夫に伝えた。私の家族、そしてニューヨークタイムズの東京支局を自主的にロックダウンすることを。家族は人と実際に会うのをやめ、支局のスタッフは速やかにテレワークに切り替えた。
2週間後、専門家からの重い警告を受け、安倍晋三首相は緊急事態宣言を発出した。4月7日のことだ。
残りの「2割」に入る人が多すぎる
それ以降、人々は外出自粛要請を真剣に受け止めているように見える。東京の平日の地下鉄利用は前年に比べ約60%減少した。道を歩く人もかなり減っている。人気のカラオケ店は閉鎖し、六本木の居酒屋では店の外にテイクアウトメニューが置かれ、そこには「Stay home(ステイホーム)」と書かれている。
日本は他国に比べると検査数がかなり少ないが、にもかかわらず確認された感染者数は18日時点で1万人を超え、死者数も161人を数えた。東京の病院には、すでに入院しているコロナ感染症患者に対応できなくなっていると警告するところも出てきている。
東京は少しでも東京らしさを保とうとしているが、人々はまるで見えない針の穴に糸を通そうとしているかのようだ。政府は感染増加のペースをなだらかにするため、人との接触を8割減らすよう国民に訴えている。が、あまりにも大勢の人々が残りの2割に入り込もうとしているように見える。
自宅のリビングルームにいても時折、近所に設置されたスピーカーから大音量でメッセージが流れるのが聞こえてくる。「外出を控えてください」と呼びかけているのだ。だが、これをちゃんと聞いている人はいったい、どれくらいいるのだろう。
(執筆:Motoko Rich東京支局長)
(C)2020 The New York Times News Services
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