海外紙記者が見た東京「外出自粛」ヤバい実態 アメリカの友人から心配の声も上がっている

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外国と違って日本はウイルスの影響を受けない——。そんな奇跡のような考え方が日本人の間で広まっているかに見えるのは、こうした日本の慣行に理由の一端があるのかもしれない。

国会議員でさえ自粛要請に応じなかった。緊急事態宣言が発出されてから東京のキャバクラを利用した議員は、所属政党から除籍された。

自己満足に陥っている東京人

日本人は外出自粛に「抵抗」しているともいえるが、その原因の一部は日本の仕事文化に根ざしている。職場に顔を出さなければ怠け者扱いされるのではないか、という恐れの文化だ。

政府の緊急事態宣言対象が全国に拡大された翌日の17日、私の自宅近くにある地下鉄の駅からは多くの通勤客が流れ出て、オフィスビルへと足早に歩いて行った。その前日の昼頃には、ランチを買う人がフードトラックに列をなし、おしゃべりをしながら共有の調味料ボトルを使って自分の食べ物に味付けしていた。

経済を破壊するロックダウン(都市封鎖)を回避しつつ何週間とウイルスの拡大を抑えてきたことで、東京は自己満足に陥ってしまったのかもしれない。

休校や大規模イベントの中止は3月初旬から行われているが、東京という世界最大級の大都市の大部分では、4月初旬まで普通の生活が続けられていた(確かに東京都の緊急事態宣言で人混みは減り始めた。だが人があふれる横断歩道、息苦しいほどの満員電車が日常という東京では、人出が減ったというのは、あくまで相対的な意味でしかない)。

3月下旬、私の家族は自宅待機しているニューヨークやカリフォルニアの友人らとビデオ会議ツール「Zoom(ズーム)」で話をしてから、東京の混み合う川沿いのレストランに友人らと夕食に出かけた。だが「自分たちは無謀なことをしているのではないか」との疑問は拭えなかった。世界的な圧力が高まり、ようやく決定した東京五輪延期に関する記者会見では、記者らが換気されていない部屋にすし詰め状態となった。

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