外出自粛なのに「オフィス家具」が売れる理由 自宅を職場仕様に変える人が増加中
緊急事態宣言の発令からまもなく3週間になる。外出自粛の影響で都心のオフィス街は閑散とし、夜になってもオフィスビルを照らす電気はまばらだ。
オフィスには人がほとんどいない。にもかかわらず、いすや机といったオフィス家具の需要が増加するという逆転現象が起きている。
自宅のいすは硬すぎる
「3月に入ってから、申し込みが殺到している」。オフィス家具の通販やレンタルを手がける47(よんなな)ホールディングスの阿久根聡代表取締役は手応えを語る。「もともとはオフィス向けを中心に事業を展開していたが、在宅勤務の導入に伴い『自宅を仕事場仕様にデザインするためオフィス家具を導入したい』という引き合いが強くなっている」。在宅向けのオフィス家具の購入費用を補助している企業もあるという。
テーブルの高さが合わず無理な姿勢を強いられる、いすの座面が硬くて長時間座っていると疲れる……。在宅勤務が続く中、改めて「自宅は仕事をする場ではない」と痛感した人も多いだろう。自宅での作業を少しでも楽にしたい、そんな思いからか、自宅で使うためにオフィス家具を購入する動きが広がっている。
高さを調節できるデスク、角度を自在に変えられる電気スタンド、電源コードやLANケーブルなどを1カ所にまとめられるコンセントユニットなど、かゆいところに手が届くのがオフィス家具。中でも引き合いが強いのは、オフィスチェアだ。座面の高さはもちろん、背もたれやひじかけ、ヘッドレストなど体に合わせて細かい調節が可能で、人間工学に基づいた商品もある。「(オフィスチェアは)よく考えられて設計されている」(阿久根氏)。
オフィス家具メーカー大手のオカムラは、自社ブランドのオフィスチェア「ノーム」が好調だ。長時間座っても疲れないクッション性の座面や、角度だけでなく反発力まで調整可能な背もたれが特徴。価格は2万円台からだが、今月3月のECサイトでの売り上げは前年同月比で約1.8倍に伸びた。通常のオフィスチェアは10万円程度と値が張るが、在宅向けにはノームのような2~3万円程度の商品がよく売れているという。
「総務部から『従業員向けに支給したい』という問い合わせが増えている。オフィスチェアのほか、感染予防のため室内に仕切りを作るための簡易なパーテーションの引き合いもある」(同社)。ダイニングテーブルや寝室など、同じ「在宅」でも場所ごとに異なるオフィス家具を提案するほか、ECサイトでも在宅向けのキャンペーンを打ち出している。
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