日本より約1カ月早く、事実上の国境封鎖をアジアで初めて断行したマレーシアで、少しずつその「ロックダウン効果」が見え始めている。
当初、日本より感染者数、死亡者数ともに大幅に少なく、3月前半までは目立った感染者数の伸びも確認されていなかったマレーシア。しかし、3月15日に突如として前日の35人から190人と急速に1日当たりの新規感染者数が増加した後、連日100人超の新規感染者数を記録し続け、4月初旬までの間には同200人を超える日も出ていた。
「マレーシアの窮状が示す集団行事の巨大リスク」(2020年3月24日配信)で詳しく報じたように、クアラルンプール郊外のモスクで行われた大規模礼拝が集団クラスターとなったこともあり、マレーシアでは3月下旬において大幅な感染者数の伸びが続き、日本の感染者数を一時は一気に追い抜く事態となっていた。
これを受けて、マレーシア政府は非常に早い対応を見せた。翌3月16日にはムヒディン首相が緊急会見をして、わずか2日後の18日からの事実上の国境封鎖と活動制限令(一部を除く原則的なロックダウン)開始を宣言。当初2週間の予定で出された活動制限令は2度にわたって延長されて、4月28日まで続くことになり、その間、市民の外出制限は日増しに強化されるなか、ここ数日は状況に変化が見られている。
新規感染者1日100人超の状態を脱しつつある
新規感染者の急速な増加を示した3月15日からちょうど1カ月後の4月15日、1日当たりの新規感染者数は100人を下回り85人、(翌日16日には110人となったものの、)17日69人、18日54人、19日84人と、1カ月ほど続いていた1日当たり新規感染者数100人超の状態を脱しつつあるように見受けられる。
一時は日本の累計感染者数も追い抜いたものの、昨日(4月19日)時点で、日本の感染者数1万0361人、死亡者数161人に対して、マレーシアの感染者数は5389人、死亡者数は89人となっている。約半月前の4月2日時点では、日本の感染者数2384人、死亡者数57人に対し、マレーシアの感染者数は2908人、死亡者数45人と、マレーシアの感染者数のほうが多かったものの、この2週間ほどで立場は逆転している。
もちろん、国全体の人口は日本が約1億2600万人、マレーシアは約3100万人と4倍近い開きがあり一概に比べられないものの、一足早く封じ込めを断行したマレーシアの新規感染者数が減っている実例は、現在、急速に新規感染者数が拡大している日本とは対照的だ。
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