自民党の地盤沈下による政界流動化の気配が漂う中、「保守リベラル」の大先達として石橋湛山がスポットライトを浴びている。首相を務めた政治家という以前に、湛山は16巻に及ぶ全集を残したジャーナリストである。
その業績は多方面にわたり、湛山の足跡からどんな教訓を読み取るかは人それぞれだ。全集をそろえたという石破茂首相は、湛山が掲げた「小日本主義」を、功利主義に基づくウィンウィンの外交政策と理解し、それは今の日中関係に応用できると唱えている。
植民地を放棄して通商国家として歩むのが日本の繁栄の道だとするのが「小日本主義」の骨子だった。湛山がこれに基づく論陣を張ったのは1920年代初めのこと。まさに湛山の合理主義と先見性を示すものだが、現在の日本の状況は100年前とかなり違う。むしろ今読むべきは、日米開戦を控えた41年7月に発表された「百年戦争の予想」という論説だ。
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