遠距離で暮らす「国際カップル」が幸せなワケ コロナ禍で恋人が帰国できないケースもある

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美紀さんから会いに行くにも、仕事が忙しくなかなか長期の休みが取れずに5年も経ってしまいました。美紀さん自身、もともと辛抱強い性格だと自負していますが、「絶対一緒になれると信じている」と強いまなざしで語っていました。

一般的な感覚だと、4年も5年も会えずにいると別れの決断をする方のほうが多いように思いますが、なぜそんなに夫婦間の絆を深められているのかを聞いてみました。

「彼とは毎日ビデオ通話で話をしています。カメルーンはインフラが安定せずに雨も多いので電波が悪く、画像がフリーズしたり音声が途切れてしまうことも多いのですが、どんなに疲れていても必ず毎日会話をします。

その中で、彼は必ず私たちの未来の話をするんです。“いつかは一緒にこういう家に住みたい”といって、すてきな家の画像が送られてきたり、“必ず一緒に住めるようになる、離れ離れなのは今だけで必ず一緒にいられるようになる”といって、いつも疲れた心を慰めてくれます。

カメルーンとは8時間の時差なので、会話は毎日深夜0〜2時。これが私たちの大切な夫婦の時間なんです。もちろん夫婦げんかも時々ありますが、ほとんどの原因はすべて国の事情についてですね」

なるほど。大変な状況の中でも、つねに希望を忘れずに、いつも先の幸せを描いて共有しているというのはとてもすてきなことです。しかし、それだけでは「もっと現実を見てよ!」とイライラしてしまいそうですが、ご主人のケアはそれだけではないと言います。

つねに気にかけてくれる存在がいるという「実感」

「私に毎日連絡をくれるのはもちろんなのですが、私の両親にも毎日簡単な英語でメッセージを欠かさず送るんです。“家族を大切にする”というのはカメルーンでは当然のことのようで、私の知らないところで、私の両親それぞれにマメに連絡をして、とても大切にしてくれていますね。

ですので、私の両親も、別れろとは言いませんし、私が納得するようにしたらいいとだけ言ってくれます。私に電話をくれるときも、第一声は決まって『家族はどう?』なんです」

家族を気にかけてくれる、自分をつねに気にかけてくれる存在がいるという“実感をもつ”ということはとても心の支えになります。

近くにいてもお互いが尊重されずにかえって心が傷つく場合もある中で、何年も離れていても、毎日忘れずにマメに連絡をくれる、デジタルを通してでも毎日コミュニケーションを怠らず、希望を忘れずに明るい未来の話をシェアするというのはとてもすばらしいことですし、絆を深めるためには欠かせない大事なことです。

現在、ご主人はトルコに仕事が決まり、出稼ぎに行っているそうです。カメルーンに比べてトルコはインフラが整っていて電波がよいそうで、連絡は毎日スムーズにとれストレスがないと言います。

今回、コロナの件で夫婦げんかが増えたとか、連絡が取れにくくなったなど、何か影響があるのかを改めて聞いてみたところ、「カメルーンでの紛争でたくさんの死を見てきた本人からしたら、コロナなんて大したことないみたいでまったく気にしていないようです。

ただ、トルコ人も仕事がなくなっている状況なので、外国人にとってはさらに厳しい状況です。でも、私たちの関係は今のところ終わる予定はありませんね(笑)。最近では、カナダで一緒に生活をするという目標も決まり、お互いに準備を始めました」と、どこまでもポジティブな美紀さんらしいお答えでした。

国内外かかわらず、最愛の人と離れて不安でいる方も多いと思います。ただ状況改善を待つよりも、今はこまめにコミュニケーションをとって、お互いへの愛や絆を育むときなのかもしれません。どうか今こそ心を強く持ち、希望を忘れずにいていただきたいものです。

鈴木 まり 生活カウンセラー

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すずき まり / Mari Suzuki

日本女性ヘルスケア協会長、株式会社ロサ代表取締役、アーユルヴェーダサロンROSA並びにジョホレッチスタジオを運営。大学・専門学校では心理学を専攻。西洋医学、東洋医学、心理学の広い分野から、カラダ、メンタル、環境、生活全般において年間約600名の女性たちの悩みに接している生活カウンセラーでもある。著書『48手ヨガ~江戸遊女に学ぶ女性ホルモンと体力活性法』(駒草出版)。

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